メルセデス・ベンツの激レアトラックが初公開! 特装車のベースとなるエコニックのキャブ付シャシーに注目せよ!!【ジャパントラックショー2022】

妥協のない専用シャシー

サイドレールに50mmピッチ4列のパターンホールを備えたヘヴィデューティーなフレームと、電動油圧式の後後軸ステアリング機構を備えたエコニックのシャシー。架装前なので角材をブラケットとして仮設している
サイドレールに50mmピッチ4列のパターンホールを備えたヘヴィデューティーなフレームと、電動油圧式の後後軸ステアリング機構を備えたエコニックのシャシー。架装前なので角材をブラケットとして仮設している

 「エコニック」では、この優れた乗降性を実現するためにシャシー自体を低床化、その上で、キャブをマウントするフロントオーバーハング部のフレームはさらに地面側へ引き下げた形になっています。

 しかし、はしご車のベースシャシーとして使われるだけあって、「エコニック」のシャシーフレームはヘビーデューティに造られており、安易に寸法を縮めるような妥協がないこともわかります。ここは、さすがダイムラートラックと思わされるところで、また、キャブ付シャシーでなければ観察できないところでもあります。

 これによって、東京・京都で導入された「エコニック1835L」(車両総重量18t・4×2駆動)べースの30m級はしご車は、先端屈折式、車いす対応型バケットというハイスペックを備えながらも、車両全高はわずか3140mmに抑えることができたのです。

3軸の大型車なのに小回りが利く!

 展示車は車軸が前に1本・後ろに2本の3軸、(厳密にはタイヤは8本ついていますが)計6輪ですが、駆動するのは前から2軸目で、1軸目はもちろん3軸目も操舵可能となっています。そのため、大型トラックにもかかわらず小回りが利きます。これもはしご車用シャシーとして選ばれたポイントでしょう。

 エンジンは、メルセデス・ベンツの「OM936LA」という354hp・7.7リッター直列6気筒インタークーラー付ターボエンジンで、6速オートマチックと組み合わせています。大型運転免許にオートマ限定はありませんが、2ペダルで運転できるようになっています。
 
 ちなみに「OM936LA」は、三菱ふそうの大型トラック「スーパーグレート」が搭載する「6S10」エンジンと同型だったりもします。

展示車だけの仕様 海外ではさまざまな特装車も!

 展示車はそれ以外にも、同じ2635L 6×2/4ENAをベースとした東京消防庁向け水槽車とはトランスミッションが違う(水槽車は12段機械式自動変速機。これはこれでオプション仕様で国内唯一)とか、パワー・テイク・オフ(PTO)装置を3基も装着しているとか、他にはないシャシー仕様(6×2/4ベースのはしご車向け?)となっています。この点でも日本では珍しいシャシーといえるかもしれません。

 ワイ・エンジニアリングでは、「エコニック」を消防車以外にも、航空機地上支援車両(GSE)などのベース車としての採用に期待しているほか、2020年に発表されたバッテリーEVモデル「eエコニック」についても、導入を検討しているとのこと。
 
 実は「エコニック」、海外では消防車やGSEはもちろん、塵芥車、ミキサ車、ダンプ、スキップローダー、冷凍車などの特装車、さらに都市内運行用セミトレーラの牽引車(セミトラクタ)として使われる例があるので、もしかしたら、日本でも思わぬニーズを呼ぶかもしれないですね。

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