中間休息日で車両と人員をリフレッシュ!! 日野チーム、後半戦に向けて万全の態勢を整える【ダカールラリー2022】

中間休息日で車両と人員をリフレッシュ!! 日野チーム、後半戦に向けて万全の態勢を整える【ダカールラリー2022】

 8日目を迎えたダカールラリーは、サウジアラビアの首都リアドでの中間休息日。メカニックにとっては車両の点検整備で忙しい1日となるが、ドライバーやナビゲーターにとっては一息つける1日だ。

 実は、我々にとってもホッとした出来事が……。ダカールラリー2022に帯同している従軍記者の多賀まりお氏には、毎日現地からのレポートをお願いしていたのだが、4日目以降連絡がプッツリ途絶えてしまって心配していたのだ。

 どうやら現地のネット環境のせいらしいのだが、首都リヤドに戻って通信が改善。多賀氏は毎日レポートを送ってくれていたものの、こちらには届かず、こちらの問い合わせも多賀氏に届いていなかった模様。

 いかにも世界一過酷なレースと言われるダカールラリーらしい顛末ではあるが、今後もゴールに至るまで、ネットが繋がるかどうか別の意味でハラハラさせられるかもしれない。

文/フルロード編集部・日野自動車・多賀まりお 写真/フルロード編集部・日野自動車・ASO

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首都リアドで迎えた中間休息日

休息日を迎えたダカールラリー2022。メカニックにとっては忙しい一日だ

 ダカール2022は8日、サウジアラビアの首都リヤドで中間休息日を迎えた。この日は競技は行なわれず、ドライバーとナビゲーターにとっては休息と後半戦に向けた準備、メカニックにとっては車両の点検整備で忙しい一日となる。

 ビバークが設営されたのは飛行場近くにある大学の敷地内。5日にアル・カイシュマから到着したあと6日、7日と当地のループコースで競技を行なったため、ダカールでは珍しい4日間連続して滞在するビバーク地となった。

8日のランチは日野チームスガワラを支えるスポンサー、K&Kの「缶つま」でパーティ!!

 日野チームスガワラのメカニックたちは、7日夕刻に車両がビバークに到着したあと夜半まで作業を実施。この日も早朝から仕事にかかり、終了したのは9日の未明となった。

 整備内容は定期予定交換部品の交換や点検整備のほかキャパシタケースの揺動を抑えるための調整、トランスファーの交換など盛りだくさん。5人のメカニックたちの頑張りで車両は完全にリフレッシュされ、後半戦に向けて万全の態勢を整えた。

トランスファーの交換作業を進めるメカニックたち

キャパシタケースの揺動による悪影響を解消しポジションアップ

 ハイブリッドシステムを搭載したHINO600シリーズで初めてのダカールを戦う日野チームは当初、日本国内のテストでは確認されなかったキャパシタケースの揺動が車体の操縦安定性に悪影響を及ぼすトラブルに見舞われて低迷したが、揺動を抑える対策を講じてからは順調にペースアップ。

 4日の競技から3ステージ連続で総合12位のSS順位を記録し、累積順位は総合17位に浮上した。後半戦に向けては各部のファインチューニングを施し、さらなる上位をめざす。

ボディ中央に搭載されているのがジェイテクト社製キャパシタ

日野チームのメンバーのコメント

菅原照仁
 しっかりとしたペースで走れるようになってきたので、後半戦では引き続き煮詰めを行ない、車両の完成度を高めたいと思います。コースはさらにむずかしい砂丘が出てくると予想。ナビゲーションもいっそうむずかしくなりそうです。

望月裕司
 車両はしっかりリフレッシュできました。ハイブリッドシステムはアクセルオフの状態でエネルギー回生、すなわち発電を行ないますが、その状態で発電量を増やすべく、発電に必要なトルクを発生するだけの燃料を噴射する制御を明日は試します。

 目的は発電量を増やすことよりも、アクセルオフ時に燃焼が続くことでターボチャージャーの回転が下がりにくくすることにあります。再加速時の速やかな過給圧の上昇を促し、いわゆるターボラグの解消効果を期待しています。車両の状態が良くなってきたので、こうしたことも試すことができます。

染宮弘和
 長い時間を掛けて車両を良い状態に保ってくれるメカニックさんたちに感謝の気持ちです。明日からの後半戦は厳しいステージが続きそうなので、気を付けて頑張ります。

燃料搭載量を打ち合わせる菅原照仁と染宮弘和

鈴木誠一
 中間日の作業内容としてはこれまでと変わりませんが、トランスファーの交換があったので時間が掛かりました。ギアボックスとハイブリッドモーターの双方から入力を受けるトランスファーには大きな負荷が掛かります。

 このほかフローティングマウントされているキャパシタケースは、より動きが小さくなるよう仕様を変更しました。

豊富な知識と経験を持つ、チーフメカニックの鈴木誠一

【従軍記者・多賀まりおの「ダカール2022」短信】
ベテラン従軍記者の裏話 ダカールラリー今昔物語

 サウジアラビアの砂漠の雰囲気は北アフリカによく似ています。砂丘のカタチは地域によって異なりますが、岩山の連なり、枯れ川の底、植物が点々と茂る砂地の丘陵などモーリタニアかリビアを彷彿とさせる場所が少なくありません。

 そんな地域に設営されるビバーク地の雰囲気もアフリカ風ですが、2007年までアフリカで開催されていた頃との大きな違いはロジスティクスがトラック中心であることでしょうか。

 かつてアフリカでダカールが開催されていた地域は道路の整備が進んでおらず、地方の飛行場をビバーク地として航空機で主要な機材と人員を運んでいました。このため運べる量は限られ、供給される食事も1991年まではトラックの上でボイルされた缶詰とパンというシンプルなものでした。

 ところが南米では舗装された道路網が完備しているため、ビバーク地の物流はトラックに変わりました。これで大量の機材が運べるようになると同時にビバークが飛行場である必然性がなくなり、トラックさえ行ければどこにでも設営できるようになったのです。

 基本的にビバークの敷地外は舗装路なのでトラックも一般的な4×2や6×4のセミトラクタとトレーラで大丈夫。さすがにスタックしている姿をよく見かけますが、前輪駆動のバンをベースにしたキャンピングカーを持ち込むチームもあります。

 アフリカ時代はC130輸送機の中で行なっていた国際映像の編集作業は拡幅式ボディを架装したセミトレーラに代わり、大会本部も輸送機からトレーラのコンテナに……。

 大型の発動機式発電機があるのでサウジに来てからはメディアセンターにエアコンが備わり、サウジにきてからはトイレは水洗式、シャワーも毎日入れるようになりました。

 そういえば人員を運ぶ飛行機も空挺部隊用の軍用機からチャーターの旅客機に……。小型輸送機のショートSC7スカイバンや旧世代のアントノフ、なぜか空中給油機に乗せられたこともある昔に比べると風情がなくなったのも事実ですが、文明を経験してしまうとなかなか元には戻れないような気がします。

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