将来の規制対応も視野に!? ダイムラーが新世代の「パワーライナー」内燃ドライブラインを発表!

将来の規制対応も視野に!? ダイムラーが新世代の「パワーライナー」内燃ドライブラインを発表!

 ダイムラー・トラック、および傘下のメルセデス・ベンツ・トラックスは新世代「パワーライナー」ドライブラインで、燃費を従来比4%改善した。OM470/471型エンジンの改良とともに、トランスミッションやリアアクスルと併せた全体としての最適化を図っている。

 エンジン回転数を下げるダウンスピーディングというコンセプトは、排ガス・CO2排出規制への対応で不可欠となっているエネルギー効率向上のほか、欧州市場で新規導入が予定される騒音規制への対応も考慮したもの。

 また、同社がトラックを発明してから130年となるが、IAAトランスポーテーション2026ではデザインスタディ集を発表し、未来のモビリティの課題と機会について議論を促している。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG

ダイムラー、新世代「パワーライナー」で燃費を4%向上

将来の規制対応も視野に!? ダイムラーが新世代の「パワーライナー」内燃ドライブラインを発表!
「パワーライナー」ドライブラインのゴーストビュー

 ダイムラー・トラック傘下のメルセデス・ベンツ・トラックスは商用車の電動化を推進しながら、同時に従来型エンジン技術の開発も続けている。

 世界最大の商用車の展示会「IAAトランスポーテーション2026」に合わせて、同社は新世代の「パワーライナー」ドライブラインを発表した。エンジン、トランスミッション、駆動軸、その他のコンポーネントが最適な連携をする統合型のパワートレーンで、従来の同仕様車と比較して最大で4%の燃費向上を実現するという。
(馬力帯が変更されているため単純比較はできないが、「アクトロスL 4×2」の第3世代OM471型エンジンを搭載する「1851」モデルと、新世代パワーライナーを搭載する「1850」モデルの比較となるようだ)

 同時に出力とトルク特性を見直し、ドライバビリティを改善したことで長距離走行時の快適性も向上した。新世代パワーライナーは2027年4月からメルセデス・ベンツのトラックに搭載される。またダイムラー・バスの車両にも採用する予定で、異なる車両セグメント間で共通のアプローチを確立する基盤になる。

 なお「パワーライナー」という名称は、1980年代のメルセデス・ベンツの大型トラック(「NG」系および「SK」系)ラインナップにおける、V型エンジンによる高馬力仕様に与えられた称号で、当時はクラス最高峰の出力を誇った。新世代パワーライナーは、その伝説を復活させた形である。

 メルセデス・ベンツは効率、耐久性、航続距離、運行上の柔軟性が求められる用途においては、内燃エンジン技術が引き続き重要であると強調しており、新世代パワーライナーは排ガス、騒音、燃費など将来の法規制に対応することを念頭に開発された。

 同社の欧州カスタマーリージョン社長のスティナ・ファーゲルマン氏は次のように話している。

「パワーライナーではお客様の日常業務に不可欠となる要素を両立させました。高い効率と信頼性、そして安心感のある運転体験です。駆動系全体を統合的に最適化することで4%もの燃費向上を達成し、高い効率・パフォーマンス、ドライバビリティを実現しました。

 また、大型車の排ガスと騒音に関して(欧州では)規制強化が予定されており、これらの法定要件を開発段階から考慮しました。これにより従来型のディーゼル車においても長期的に競争力を確保するための重要な基盤が築かれます」。

駆動系全体で最適化

将来の規制対応も視野に!? ダイムラーが新世代の「パワーライナー」内燃ドライブラインを発表!
新世代パワーライナーの全体

 開発の最大の焦点は(エンジン単体ではなく)駆動系全体としての効率向上だった。エンジン、トランスミッション、駆動軸が綿密に連携するように設計され、排ガス後処理装置と制御系、運転戦略も強化した。最大4%の燃費向上はこうした対策の組み合わせで実現した。

 後処理システム等を含めて「ユーロVIe」排ガス基準に適合するほか、CO2ニュートラルとみなされる合成ディーゼル燃料「EN 15940 XtL」(植物油から作るHVO燃料や液化したバイオマス燃料などディーゼル互換の液体燃料の欧州規格)にも対応した。今後施行される「ユーロ7」排ガス規制にも対応可能なコンセプトで、欧州市場で新たに導入される騒音規制への対応も考慮されている。

 もちろん、ドライブラインの中心となるOM470型およびOM471型ディーゼルエンジンも効率を向上している。新しい燃料噴射システム、独自開発する用途別のターボチャージャー、最適化したオイルサーキットなど、燃焼効率の最適化とフリクションロス(摩擦による損失)の低減を図った。

 出力曲線とトルク曲線の見直しは、低回転域で確実に駆動力を得ることを目的としており、より早い段階からパワーを発揮することで実運用において効率的な運行が可能となる。

 排気量10.7LのOM470型は集配送や積載量を重視する用途に向けた軽量エンジンで、新世代パワーライナーでは265kW(360hp) / 300kW(408hp) / 335kW(455hp)の3種類の定格出力を設定する。最大出力は1500rpmで得られ、定格出力に応じて最大トルクはそれぞれ1800Nm、2000Nm、2200Nmとなる。1000rpmを下回る回転数から充分なトルクを発生し、1100rpmで最大に達する。

 いっぽう大型トラクタで主力となる12.8LのOM471型には4種類の定格出力が設定され、長距離から重量物輸送まで幅広い用途に対応する。310kW(421hp) / 330kW(449hp) / 365kW(500hp) / 400kW(550hp)で、ラインナップで最強の400kW出力は今回新たに設定した。最大トルクは定格出力に応じてそれぞれ2200Nm、2500Nm、2650Nm、2800Nmとなっており、やはり1100rpmで最大トルクに達する。

次ページは : 回転数を下げる「ダウンスピーディング」というコンセプト

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