ボルボ・トラックスは航続距離が700kmに達する長距離輸送用BEVトラックのローンチと、次世代BEVトラックを正式に発表した。
同社は2040年までにネットゼロ排出を実現するとしており、そのための3つの技術戦略として「バッテリーEV(BEV)」と「燃料電池EV(FCEV)」、そして「再生可能燃料による内燃機関」(グリーン水素、バイオガス、バイオディーゼル、HVOなどを燃焼するエンジン)を掲げている。
新型トラックは、BEV分野の新たな基準となりそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo
ボルボ、電動フラッグシップ車となるBEV大型トラックをローンチ
スウェーデンのボルボ・トラックスは2026年4月14日、パフォーマンスと柔軟性を向上し、航続距離が最大700kmに達する新型バッテリーEV(BEV)トラックをローンチした。同社が2026年第2四半期に長距離輸送用のBEVトラックをローンチすることは既に発表されていたが、航続距離は「600km」としていた。
航続距離を拡大した「FHエアロ・エレクトリック」は6×2トラクタで、最後軸に小径タイヤを履いている。一般的に欧州の長距離輸送は4×2トラクタを用いるが、バッテリーにより増加した重量の軸重配分と、ゼロ排出車に認められる最大4トンの積載量緩和(認可重量の増加)に対応するためと思われる。
トラックの航続距離は積載量やボディの架装、運転や運行のスタイル、天候・地形の影響も受けるため一概に比較することはできないが、航続距離の公称値としてはダイムラーの「eアクトロス600」を上回り、長距離用BEVトラックでも本格的な競争が始まったといえそうだ。
ボルボは業界で最大級の電動ラインナップを誇り、このセグメントのグローバルリーダーの一社となっている。今回、同社はBEVトラックに関して新たに2つの「ニュース」をアナウンスした。
一つは長距離輸送用の新型トラック・FHエアロ・エレクトリックのローンチで、700kmの航続距離により、実際に長距離輸送の電動化を可能にする画期的な進歩だという。
もう一つは同社のBEV大型トラックレンジの刷新だ。「FH」「FM」「FMX」それぞれの電動モデルで柔軟性、生産性、運転快適性、航続距離を向上するもので、こちらは1充電当たり最大470kmを走行可能になる。これによりさらに多くの輸送分野で電気駆動への切り替えが可能になったという。
ボルボ・トラックス社長のロジャー・アルム氏は次のようにコメントしている。
「私たちは提供する車両の強化に本気で取り組んでいます。より広範な製品を提供し、様々な輸送分野に電気によるソリューションを届けます。最新型BEVトラックの航続距離は700kmに達し、お客様のビジネスニーズを完全に満たすことができます。ディーゼル車をBEVに置き換えることは、かつてよりずっと簡単になりました。
弊社は将来的にトラック輸送の大部分が電動化されると確信しています。ボルボが新たに導入するトラックの驚異的なパフォーマンスを見れば、その理由を容易に理解できるでしょう」。
長距離BEVトラックと次世代BEVトラック
長距離輸送用の大型トラックとなる航続距離延伸型のボルボFHエアロ・エレクトリックは1充電当たり700kmを走行可能に。それを実現したのが新たに採用したeアクスル(駆動軸に電動モーターやトランスミッションを組み込んだコンパクトなドライブライン)だ。
従来のセントラルドライブ方式よりスペースの余裕ができるので、搭載するバッテリーを大幅に増やすことができた。また、大型車用の充電規格となるメガワット充電システム(MCS)に対応し、約50分で8個のバッテリーを20%から80%に充電できる。
これは、欧州でトラックドライバーに義務付けられている法定休憩(4.5時間の運転に付き、少なくとも45分の休憩を取らなければならない)の時間とほぼ同じで、休憩中の充電が利用可能であればBEVトラックの生産性は大きく向上する。
「この長距離トラックは業界で最高のものです。優れた航続距離と積載量、急速充電、そして快適な乗り心地を兼ね備えています。お客様はBEVトラックで長距離輸送に出かけることができ、日々の仕事による生産性がディーゼル車に劣ることはありません」(同氏)。
いっぽう、「FHエレクトリック」「FMエレクトリック」「FMXエレクトリック」も次世代モデルで完全新設計となる電動ドライブラインを搭載する。
様々な用途を担うこれらのモデルは最大限の柔軟性を発揮するように設計され、優れた運転性を提供しつつ、コンクリートミキサ、フックリフト、ゴミ収集車など荷台側が大きな動力を必要とする場合も追加のモーターやアドオンは不要だ。
これは運転中も利用可能なパワーテイクオフ(PTO)によるもので、機能を向上したPTOをギアボックスに統合した。充電当たりの航続距離は最大470kmとなり、20%から80%充電にかかる時間は約65分。
「次世代のFH、FM、FMXのエレクトリックモデルは、新たにスマートな機能を搭載します。ドライバーに快適性を提供しながら排気ガスゼロの輸送を実現し、非常に広範囲の輸送業務に適したものになります」(同氏)。


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