ボルボが米国の次期排ガス規制に対応! 燃費を向上しながらNOx排出を80%削減!? 【ボルボの新型パワートレーン(前編)】

次期排ガス規制対応で2つのアプローチ

 今日の大型ディーゼル車のほぼ全てはNOx処理のため、尿素水と選択還元触媒(SCR)を使った尿素SCRシステムを後処理装置に採用している。

 ボルボはEPA2027への対応としてエンジン本体の改良に加えて、後処理装置に電気駆動のヒーターを追加した。2基搭載するヒーターは、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)とSCRそれぞれの直前に配置し、触媒活性を最適に保つことで排ガス処理能力を向上する。

 ヒーターは専用の48Vオルタネータで駆動し、エンジン/シャシー用の24Vオルタネータとは別系統だ。

 ボルボは現行のD13型エンジンに対して省燃費技術としてターボコンパウンド(TC)エンジンを訴求しており、TC型エンジンを搭載するオン・ハイウェイ系では燃費面でのメリットは感じられないかもしれないが、VGT(可変ジオメトリターボ)エンジンに対しては燃費向上を実感できるという。ただし、尿素水の消費量が増えるのはやむを得ないところだろう。

 そのほか、ターボチャージャーはプレタービン・スロットルを備える新型、圧縮比は18:1から20:1に向上した。さらに、ボルボの「ウェーブピストン」技術は新型エンジンにも搭載し、従来の7ウェーブから14ウェーブに倍増している。

 なおウェーブピストン技術とは、エンジンの燃焼室内で炎同士が「衝突」することによりエネルギーの損失が起きているという考えに基づき、ピストン冠部の「ピストンボウル」という部品に波状の突起を設ける技術だ。このウェーブにより炎は衝突することなくシリンダーの中央に導かれ、エネルギーロスを低減し、燃費を向上する。

(もともとは米国政府の資金提供によりトラックの効率向上を図った「スーパートラック」プログラムで開発されたもので、当初は6ウェーブ設計だった。2024年モデルで7ウェーブとなり、今回のEPA2027対応エンジンでは14ウェーブまで増やされた)

 専用ヒーターで昇温することで触媒活性を高め、排ガス後処理装置の性能を向上するというアプローチはカミンズも採用している。いっぽう、ダイムラーとインターナショナルは低温活性(排気温度が低い状態での触媒活性)に優れたライトオフSCRを追加する二重SCRシステムを採用している。

 米国のEPA2027への対応でSCRの強化は不可欠とみられていたが、メーカーのアプローチはヒーターによる昇温とライトオフSCRによる二重化に分かれている。排気ガスをよりクリーンにするためのエンジン技術は、今も進化を続けている。

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