物流自動化へ新たな一歩？　米インターナショナルが「第2世代」自動運転トラックのフリートトライアルを開始

　米国のインターナショナルはプラスAIの自動運転システム「スーパードライブ」を搭載した第2世代型自動運転トラックのトライアルを開始する。顧客のフリートによる実運行を通じて、実用的なフィードバックを取り入れることにしている。

　世界的なドライバー不足から大型トラック自動運転技術の開発が加速しており、メーカーは工場出荷時から利用可能な、シームレスでスケーラブルな自動運転トラックの提供を目指す。

文／トラックマガジン「フルロード」編集部
写真／International Motors, PlusAI

インターナショナルの自動運転トラックが第2世代に

　米国の大手トラックメーカー、インターナショナル・モーターズ（旧・ナヴィスター）は2025年9月8日、第2世代に進化した自動運転トラックを用いて顧客企業によるトライアルを開始すると発表した。

　インターナショナルはフォルクスワーゲン（VW）の商用車部門であるトレイトン・グループに所属している。同グループとして米国の自動運転スタートアップのプラスAIと提携しており、スカニア、MAN、VWコマーシャル・ビークルズなどグループ全体にとっても自動運転技術の商用化に向けた大きな一歩となりそうだ。

　発表によるとインターナショナルとプラスAIは米国テキサス州のラレド・ダラス間の州間高速道路35号線（I-35）で、運送会社と共同で自動運転対応の大型トラック（セミトレーラけん引車）の試験運用を開始するという。

　車両はサンアントニオにあるインターナショナルの自動運転ハブが監視しており、顧客企業との緊密なコラボレーションを通じて実運行におけるより深い理解を得ることを目指す。

　第2世代型となる自動運転トラックは、インターナショナルの長距離輸送用の大型トラクタ「LT」シリーズに、アップデートされたセンサースイートとコンピューターを搭載する。量産に向けて、自動運転システムは最新型の「S13」統合パワートレーンとともに製造工程でインストールされる。

　実際の運転データでトレーニングされたスーパードライブは、エンドツーエンドのAIモデルを基盤としており、新しいルート、地形、運転状況に対してすぐに対応可能だという。

　センサーキットはイメージングレーダー、LiDAR、車両周囲に戦略的に配置したカメラを組み合わせている。こうしたセンサー類による視界は車両の全周360度に及び、安全性と信頼性を最優先としつつ、正確かつ効率的な自動運転を実現するそうだ。

　インターナショナルで最高戦略・変革責任者のトビアス・グリッタースタム氏は次のようにコメントしている。

「このパイロットプログラムは優れた顧客体験をもたらすためのシームレスなデジタルオペレーションに向けた大きな一歩です。お客様と緊密に連携し商用車の自動運転を実現することで、安全性、効率性、そして収益を向上させるための革新的なソリューションを提供します」。

自動運転を実用的なソリューションに

　道路貨物輸送の未来を形作るための幅広い取り組みの一環として、インターナショナルとプラスAIは工場出荷時から設定可能なスケーラブルな自動運転ソリューションを運送業界にもたらすことを目標にしている。

　両社のコラボレーションは、技術的な先進性と商業的な実現可能性を合わせ持ったハードウェア・ソフトウェアを開発し、実際の物流ハブ間の輸送にソリューションを提供するという両社が共有するコミットメントに基づくもの。

　運送会社のフリートでトライアルを行なうことは、実運行からのフィードバックを取り入れ、自動運転ソリューションを改良していくための貴重な機会となる。

　世界的に深刻化するドライバー不足などを背景に、運送業界は明らかに自動運転とコネクテッド技術を進化させる方向に進んでいる。

　インターナショナルや同社のパートナーは、運送業界の需要に合わせてスケーラブルな物流基盤を構築し、技術革新と顧客のニーズを融合することでより安全で、より効率的で経済的、そして持続可能な道路貨物輸送を実現することを目指している。

　実際の貨物輸送業務にシームレスに統合可能な自動運転ソリューションを提供し物流を変革するという同社のコミットメントを、トライアルを開始するインターナショナルの第2世代自動運転トラックが明確に示している。