今年、自動運転大型トラックの商用運行を開始した初めての企業となった米国のオーロラは、マクラウド・ソフトウェアと提携して業界初となる自動運転トラックの運行管理システムを提供する。
24時間稼働する無人トラックを簡単かつシームレスに追跡・監視できるようになるといい、現在はベータテスト中だが2026年にマクラウドの顧客向けに正式にロールアウトする予定だ。
人手不足が深刻な日本でも自動運転トラックへの期待は膨らんでいる。運行管理システムは商用車の効率的な運行には欠かすことができないもので、先行する米国の事例は、日本市場で商用運行を始める際の参考になりそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Aurora
自動運転トラック管理の標準となるか?
自動運転トラックで世界的なリーダーとなっているオーロラと、商用車向け運行管理ソリューションのマクラウド・ソフトウェア(共に米国)は2025年8月28日、業界初となる「自動運転トラック向け運行管理システム」の開発に向けて戦略提携を発表した。
両社の提携は、オーロラの自動運転トラックを利用する顧客に優れたエクスペリエンスを提供するための基盤を築き、業界における自動運転トラック技術の普及を促進するものになるという。
商用車の効率的な運行には、コネクテッド技術による運行管理システムが不可欠になっているが、労務管理が重視される人間のドライバーと、24時間体制の輸送を前提にした自動運転トラックでは求められる機能が大きく異なる。
自動運転トラックは貨物を24時間体制で安全に運ぶように設計される。もちろんこれは人間のドライバーにはできないことで、経営資源であるトラックの稼働率向上により、運送会社の収益改善が期待されている。
ただ、設計思想が全く異なる車両を、ドライバーが乗務することを前提にした既存の運行管理システムに組み込むことは、不必要に複雑性を増大させる。そこで管理プロセスにシームレスに統合するため、マクラウドの運行管理システム(TMS)が誕生した。
1200社以上に採用されている同社のTMSとオーロラのAPIを統合し、顧客は自動運転においてもリアルタイムでの車両管理が可能になる。こうしたシステムを通じて、自動運転トラックの運行に関心を持っている事業者の間で、効率的で導入が容易な新たな基準を確立することを目指すという。
シームレスな統合により「自動運転」受け入れを加速
発表によると、顧客はマクラウドのTMSを通じて荷物の予約や受け入れ、自動運転での出荷、配車、積載量の可視化など、トラック運送における重要なプロセス管理が可能になる。これにより運送会社は、自動運転トラックの導入から既存の事業との統合まで、簡単に行なえるようになるという。
いっぽうオーロラ社は、マクラウドの豊富な顧客基盤を活用することで業界における自動運転トラックの導入をさらに加速するとしており、同社社長のオッサ・フィッシャー氏は次のようにコメントしている。
「マクラウド社との提携は顧客中心の商品とサービスを提供するための重要な一歩です。既存のTMSの範囲内でニーズに応えることができ、自動運転トラックを安全で効率的に運行するというメリットを、お客様は容易に享受できるようになります」。
また、マクラウドの創設者でCEOのトム・マクラウド氏は次のように話している。
「オーロラ社の自動運転技術を弊社のTMSプラットフォームに統合することで、お客様は自社の業務に自動運転トラックを導入するまでの道筋が見えるようになります。この協業は、最先端技術の提供を通じて業務を最適化し、お客様が自信を持ってイノベーションを推進できるようにするという私たちの信念を改めて示すものです」。
現在、自動運転トラックに対応したTMSはベータテスト中で、マクラウドは2026年にこの機能を顧客に提供する予定だ。また、9月21日から23日まで開催されるマクラウドのユーザーカンファレンスでも最新情報を共有することにしている。
【画像ギャラリー】運行管理システムも登場し実用性を高めるオーロラの自動運転トラック(3枚)画像ギャラリー
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