BEVは投資削減、FCEVは計画延期?
特に米国ではトランプ政権の方針によりゼロエミッション車の見通しが不透明になっている。電動化に向けた「加速」から一転して、ダイムラーは重要技術のバランスをとるためスピードの調整を重視する。
北米市場ではゼロエミッション車への投資を縮小せざるを得ず、逆に大型トラック用ディーゼルエンジンで長期的な競争力を確保するためグローバルなプラットフォームを活用する。
BEVについてはメルセデスベンツ・トラックスの最新型「eアクトロス600」の技術を活用してポートフォリオを拡充するいっぽう、パッカーやカミンズと合弁で設立したアンプリファイ・セル・テクノロジー社と共同でバッテリープラットフォームの市場見通しに合わせた調整を行なう。
ダイムラーは液体水素を使用するFCEVのGenH2トラックの顧客試験を開始しているが、水素インフラの普及が進まないことなどから優先順位が下げられたようで、燃料電池トラックの大規模な展開時期は従来の「2020年台後半」から「2030年台前半」に延期された。まずは欧州市場から少数でスタートし、量産化についてもボルボと合弁のセルセントリックなどと調整するという。
いっぽう優先順位が高くなっているのがSDVで、6月に設立されたばかりのコアチュラ社(こちらもボルボと合弁)を通じて、トラックのソフトウェアプラットフォームに革命を起こすことを目指している。
そのほか、メルセデスベンツ・トラックで「ONE」モジュラーアプローチが導入され、グローバルな規模を活かして製品の複雑性を排除することや、2030年までに自動運転トラックの売上が30億ユーロに達する可能性があること、成長が続く防衛部門(軍用車)の売上を2倍にすることなどが発表されている。
特に規模の大きいインド市場は、モジュラーシステムによるコスト削減のポテンシャルが大きく、同市場でのプレゼンス拡大を図る。
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