日野自動車と港湾物流を担う苫小牧栗林運輸、コンテナターミナルマネジメントシステムを構築する三井E&Sの3社は、国土交通省の令和5年度港湾技術開発制度である「コンテナヤード内横持トレーラー運行の高度化に関する技術開発」の実証実験を1月11日~13日に苫小牧港東港区苫小牧国際コンテナターミナルで実施した。
コンテナターミナル内のコンテナ運搬(横持ち)を行なっている海コントレーラの運転を自動化し、作業性を上げようというのが今回の実証。その詳細を紹介していこう。
文/フルロード編集部、写真/日野自動車
実証実験のあらまし
苫小牧国際コンテナターミナルは、コンテナの年間取扱数で国内トップレベルを誇るいっぽう、物流の2024年問題を起点とする労働力不足の深刻化に加え、地方港の課題である作業者の高齢化が進行しており、労働環境の改善や安全性の向上、さらには次世代を担う若い働き手の確保が求められている。
こうした課題解決に向け、日野、苫小牧栗林運輸、三井E&Sの3社は、船から降ろしたコンテナの蔵置場所までの運搬および、蔵置場所から船積み場所までのコンテナ運搬を担う横持ち(港内)トレーラの運行を高度化する実証実験を行なった。
現在、苫小牧港ではドライバーが紙の指示書に基づき車両運行を行なっているが、今回の実証では、特定条件下でステムが全ての運転操作を実施する運転補助機能付きのトレーラが、コンテナの積み降ろし作業、搬入・搬出等を一元的に管理するターミナルオペレーションシステムからの作業指示を受けて運行した。
実証実験にあたっては、日野プロフィア・トラクタをベースにGPS・みちびきなどを活用するGNSS(全地球衛星測位システム)、白線検知用のカメラ、周囲の地形の測定用のLiDAR、障害物を検知用のLiDARとミリ波レーダーを搭載し、これらのデータを統合制御を行なう運転補助機能と、クレーンなどとの連携システムを追加。
また、車両と港のオペレーションシステムをタブレット端末で一元管理できるシステムも開発した。
これらの技術により、タブレット端末で「発進」指示を車両に出すだけで、作業内容・行き先情報を受け取り、積み込み・積み降ろし場所へ自動で向かうことができるほか、岸壁側荷役用のガントリークレーンやヤードのRTG(門型クレーン)といった港湾設備と連携した精度の高い正着を可能にした。
なおタブレットの操作では、車両の外からの停止位置の微調整や、車両転回といった港湾の運行で求められる動作も行なえるようになっている。
日野、苫小牧栗林運輸、三井E&Sの3社は、今回の実証実験によって、安全走行やガントリークレーンとの連携システムなどの有用性を実際の港湾現場で確認することができたとし、苫小牧港におけるさらなる労働環境改善に向け、今後も実証実験で洗い出された課題の改善や、車両およびシステム連携技術の開発・改善といった取り組みを継続してく予定だ。
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