NEXCOの大型駐車マスの拡充計画が一歩前進!! 短時間駐車マスに加え複数縦列式も採用へ

NEXCOの大型駐車マスの拡充計画が一歩前進!! 短時間駐車マスに加え複数縦列式も採用へ

 東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道のNEXCO3社は、高速道路のSA/PAにおいて顕在化している大型車駐車エリアの混雑に対し、大型車駐車マス拡充の取組みを進めている。

 4月1日からは物流の働き方改革関連法が施行され、これまで以上にトラックドライバーの運行管理が厳しくなることが見込まれる。

 SA/PAは、中・長距離ドライバーにとって法律で求められる休憩・休息を取る上で重要な拠点と言えるが、今後の大型車駐車マスの拡充計画はどうなっているのか!? 新たに始まったSA/PA等の取り組みと合わせて紹介していこう。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真・図/フルロード編集部・写真AC・NEXCO

駐車マス拡充の実績と今後の予定

NEXCOでは、駐車エリア拡大に加え、小型車マスからの描き換えやV字型駐車レイアウトへ変更することで2018年以降、約3700台の大型車駐車マスを拡大
NEXCOでは、駐車エリア拡大に加え、小型車マスからの描き換えやV字型駐車レイアウトへ変更することで2018年以降、約3700台の大型車駐車マスを拡大

 NEXCO3社では、高速道路の休憩施設駐車場について、2018年度から駐車マスの拡充・レイアウト変更を進め、これまでに普通車兼用マス、ダブル連結トラック優先マスを含む約3700台分の大型車駐車マスを増設した。

 このうち2023年度は既存エリア内での小型車マスから大型車マスへの描き換えやレイアウト変更等により、全国49カ所のSA/PAにおいて、大型車マス約630台の拡充が完了した。

 いっぽう、近年のEC市場の拡大やニーズの多様化、多頻度・小規模運送の増加等により高速道路の物流輸送量が増加しているといった背景から、依然として平日夜間の大型車駐車エリアを中心とした混雑が顕在化している。

 これらを踏まえ2024年度は、全国34カ所のSA/PAにおいて約560台の大型車駐車マスの拡充を進める計画だ。

2024年度は大型車駐車マスを約560台拡大予定
2024年度は大型車駐車マスを約560台拡大予定

 また、SA/PAの敷地は限られていることから、今後は駐車マスの拡充に加え、休憩施設以外の高速道路事業用地などを活用した大型車専用駐車場の設置や、駐車マスの立体構造化、複数縦列式(コラム式)駐車場の導入を進めるとしている。

 なお複数縦列式は、ドイツのアウトバーンなどにおいて採用実績がある駐車方式で、出発時間別に縦列駐車するレーンを設けることで、駐車マスを効率的に配備することを目的にした方式。

 現在、NEXCO西日本が管轄する山陽自動車道・佐波川SA(下り)において複数縦列式駐車場の整備が検討されている。

実証実験が始まる短時間限定駐車マス

短時間限定駐車マス。現在、60分を超える車両に特に罰則などはないが、東名・豊橋PA(下り)では、「駐車場予約システム」とあわせ一部時間帯における60分以上の駐車車両を有料とする社会実験が2021年より行なわれている。今後、短時間駐車場が有料化される可能性も……!?
短時間限定駐車マス。現在、60分を超える車両に特に罰則などはないが、東名・豊橋PA(下り)では、「駐車場予約システム」とあわせ一部時間帯における60分以上の駐車車両を有料とする社会実験が2021年より行なわれている。今後、短時間駐車場が有料化される可能性も……!?

 2023年11月からは、SA/PAの大型駐車マスの一部を60分以内とする、短時間限定駐車マスの実証実験が開始された。

 この実証実験の目的は、長時間駐車車両が駐車スペースを占有することで、結果として休憩施設を利用できなくなる問題に対処するためのもの。

 現在は11カ所のSA/PAで短時間駐車マスが運用されており、今後は実証実験の状況を踏まえつつ、試行箇所数・駐車マス数を拡大する計画だ。

足柄SA(上り)の短時間限定駐車マスの利用状況。導入前と比べ60分以内に出発する車両は大きく増加した
足柄SA(上り)の短時間限定駐車マスの利用状況。導入前と比べ60分以内に出発する車両は大きく増加した

 短時間駐車マスの分析結果では、深夜帯に60分を超過する利用も見られたが、60分以内の利用台数が68台/日増加し、延べ利用台数(回転率)も1.1台/マス増加したとされる。

 短時間マスは、4時間走ったら30分休憩を取る、いわゆる「430休憩」においては有効な手段といえるだろう。

 いっぽうで短時間限定駐車マスの拡大は、SA/PAで休息期間を設ける長距離ドライバーなどの居場所を奪いかねない。引き続き通常の大型駐車マスと併せて拡大していくべきだと思う。

 なお、物流の働き方改革により、長距離ドライバーを除き、トラックドライバーの一日の休息時間はこれまでの8時間以上から最低でも継続9時間以上に改められている(長距離ドライバーは1週間に2回は継続8時間以上が認められる)。

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