キャブスター/ホーマーの跡を継いで1982年に誕生した日産自動車の小型トラック「アトラス」は、生い立ちがなかなか複雑だ。
自社生産や新会社の日産ライトトラックで生産されていたこともあるのだが、後年は1.5トン系および2トン系とも三菱ふそうやいすゞとのOEM供給が入り乱れており、なかなかその系譜が把握しづらいトラックでもある。
そんな現行のアトラスはいすゞエルフがベースだが、エルフが半年前にフルモデルチェンジしたのに伴い、日産アトラスもこのほど新型に生まれ変わった。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日産自動車
まずは2トンクラスの2WDから発売へ
日産自動車は9月25日、「アトラス」をフルモデルチェンジし、2.0tクラス(最大積載量 2t~4.6t)の2WD車を本年10月27日より発売すると発表した。他のラインナップについては順次導入を予定している。
「アトラス」は、安全性が高く燃費性能にも優れた商用車として好評を得ている車両。
今回のフルモデルチェンジでは、エクステリアを躍動感あるフロントデザインへと一新し、先進技術、運転支援技術の充実を図ることで、新しい日産のトラックへと生まれ変わった。
今回、日産車として初めて、交差点での右左折時に衝突が避けられないと判断した際に自動でブレーキ操作を行なう「プリクラッシュブレーキ(PCB)」を全車標準装備するとともに、「全車速車間クルーズ(FACC)」、「レーンキープアシスト(LKA)」が日産商用車として初めてオプション選択可能となった。
また、専用カメラでドライバーの状態を検知する「ドライバーステータスモニター(DSM)」と、異常時に車両の制御から停止まで行なう「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」をオプション選択することで、ドライバー自身を守るとともに重大事故発生の抑制に貢献する。
エクステリアでは、キャビンの外観と構造を一新し、居住性や乗降性を向上。ヘッドランプには可変配光型LEDヘッドランプを標準採用し、特徴的なシグネチャーランプの形状となっている。
また、ウインカーや灯火器類もあわせてLED化し、夜間の視認性を向上するとともに、ランプの長寿命化にも貢献。ボディカラーにはカスタムグレード専用色として、上級感のあるダークカーキメタリックを新たに設定し、合計5色をラインアップした。
インテリアは、新設計のキャビンに合わせたインストルメントパネルを採用し、目的別にスイッチの配置をまとめるなど、今まで以上にわかりやすく使いやすいレイアウトを実現している。
新たに搭載された運転支援機能の操作スイッチや操作頻度の高いスイッチ類はステアリングに配置するとともに、インストルメントパネルのスイッチ類は、操作性向上のため配置を最適化している。
また、シートやペダル位置、ステアリングホイールの径・角度・調整幅を見直すことにより、ドライビングポジションを最適化し、さまざまな体格のドライバーに対応。
車両前面の視界を向上させるとともに、室内空間の前方・側方の圧迫感を軽減した。さらにオートエアコンを採用し、快適性の向上とともに省電力化も実現している。
トランスミッションには9段デュアルクラッチトランスミッションを新規に設定。ドライバーの操作に対してトルク抜けがなく適切な駆動力が得られるため、スムースな変速と高い燃費性能を実現した。ATモードでは、勾配判定と走行低減演算が加わり、より最適なギヤを自動判定する。
平ボディ完成車の荷台は、品質向上と軽量化のため、床・アオリの合板材質を、ゴムノキ合板から竹合板に変更した。雨水の吸水乾燥による劣化や、雨水浸透による接着剤の劣化を抑えることができるなど、高い劣化耐久性を維持する。
また、市場での二次架装性を考慮し、ダンプ完成車のアオリ高を変更し、二次架装を行なっても土砂ダンプとして成立しやすくなっている。
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