電気トラック市場が前年比200%以上という急成長を遂げるなか、欧州と北米でトップシェアを維持し市場リーダーとなっているのがボルボトラックスだ。そのボルボは市場環境が日本と似ており、地理的にも近い韓国市場にBEV大型トラック3モデルを投入すると発表した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Volvo Trucks
ボルボトラックス、韓国で電気トラックの販売を開始
2023年3月15日、スウェーデンのトラックメーカー、ボルボトラックスはバッテリー電気式(BEV)大型トラックの販売を韓国で開始したと発表した。世界の大手トラックメーカーとして韓国市場にBEV大型トラックを投入するのは初めてとなる。
韓国向けのBEVトラックは3モデルで、既に運送会社からの受注を受け付けている。
韓国政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成するという国家目標を掲げている。道路輸送のCO2削減のためにトラックを電動化することは、その目標達成に向けた重要な手段だ。
ボルボトラックス・インターナショナルの上級副社長、ペル・エリック・リンドシュトロム氏は次のようにコメントしている。
「韓国で電動の大型トラックを販売開始するには、今が好機だと考えています。韓国の大型トラック市場で22%のシェアを持つ私たちには、輸送セクターのCO2排出量を削減するという責務があります」。
ボルボトラックスは2030年までに全世界で販売するトラックの50%を電動化することを目標としている。純電動トラックの製造は2019年から行なっており、これまでに販売したのは世界38か国で4300台余り。
大手トラックメーカーとして初めてBEV大型トラックを量産化したメーカーである同社は、合計6モデルのBEVトラックをグローバルに展開している。韓国市場に投入されるのは、このうちの3モデルだ。
(公開された写真を見る限り、FHエレクトリック、FMエレクトリック、FMXエレクトリックの3モデルと思われる)
輸送ニーズの大部分は電動化可能
ボルボトラックスは韓国においても電動化が可能な多くの輸送ニーズがあると考えている。例えば都市部の集配送、ゴミ収集、地場輸送、建設系の特装車などだ。
比較のために欧州市場の統計をあげると、貨物輸送のほぼ半分は300km未満の輸送となる。すなわちトラック輸送の大部分は、運送会社の駐車場で充電を行なうというシナリオのもと、電動のトラックよって実現できるということだ。
それ以上の距離を走行する場合は出先での充電が必要となり、公共インフラが整備されるまでBEVトラックによる代替は難しい。
「こうした状況はほとんどの国で同じです。貨物の移動の大部分は短距離であり、BEVトラックはこうした輸送が得意です。自社の設備だけでなく公共の充電ステーションなどのネットワークが拡大すれば、より多くの輸送を電動化することが可能となります」。
(同氏)
また、トラックに限らず電動車両への移行に影響する要素は他にもたくさんある。
「はっきりしているのは、電動車両への移行のスピードは、各国当局の決定に大きく依存するということです。私たちが見る限り、トラックの電動化を推進している進歩的な国々は、経済インセンティブと関連税制、そして都市部における環境規制を一体的に組み合わせることでBEVトラックの受入れを一段と加速しているようです」。
(同氏)
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