大型車のバッテリーはついにメガワット超え! ボルボ子会社が世界初の1000kWhオーバーの電動トラクタを発表

長距離輸送や重量物輸送も可能に

 もちろんBEVトラックの利点はエネルギー効率の高さだけではない。スイスの現在の電力ミックスで計算すると、トラックによるCO2排出量を年間で120トン、車両ライフを通じて74%削減する。

 何よりも、集配送、長距離輸送、重量物輸送、特殊輸送などの運送業に従事する会社にとって、デザインヴェルクの車両は従来のディーゼル車をそのまま代替できるということが最大の利点となる。

 ただし、スペースの余裕が少ないトラクタでは、ホイールベースとキャブの後ろにバッテリーを搭載する特殊なシステムのため、ボルボのベース車よりシャシーが1メートルほど長くなっている。このため実際の運用はスイスやスカンジナビア半島の北欧諸国など(車両の全長規制がとても緩い)を想定した車両といえる。

 ちなみにバッテリーの重量だけで5.62トンあり、普通充電だと満充電まで約22時間と、ほぼ丸1日を要する。150kWの急速充電でも80%充電に約4時間、シフト間に行なうことを想定するのは350kWの充電で、80%充電が約100分だ。

 NMC(ニッケル・マンガン・コバルト)リチウムイオン電池を採用する高圧バッテリーは、DWが自社で製造する独自のシステムで、競合と比べて特徴的なのはモジュラー設計とエネルギー密度の高い省スペース設計だ。

 こうした特徴によりデザインヴェルクは様々な商用車の電動化を可能としている(DWはベンツ車の電動化も行なっている)。

 GCW40トンクラスのトラックはクラッチの断接やシフトのない独自の1段トランスミッションを備え、500kW(680hp)という高馬力を発揮する。車型はミッドキャブおよびハイキャブの6*2トラクタ。

 最初の車両は2023年末までにスイスで見ることができるだろう(ただしとても静かなので、聞くことは難しいかもしれない)。

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