過ちて改めざる是を過ちと謂う! 日野自動車が二度と不正を起こさないための改革案を公表

過ちて改めざる是を過ちと謂う! 日野自動車が二度と不正を起こさないための改革案を公表

 日野自動車に対する世間の目は依然厳しいものがある。

 特に今年8月2日、2003年の新短期排ガス規制対応モデル以降、継続的に認証試験で不正が行なわれていたことが明らかとなり、約20年前から認証不正行為が横行していたことが発覚。

 もはや、呆れて物が言えないというのが大方の偽らざる心境であろう。

 それでも企業の存続をかけて改革を断行しなければならない。

 20年間過ちを改めなかった日野自動車だが、二度と不正を起こさないという決意は本物だろうか?

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部、図/日野自動車

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取締役、専務ら4人を事実上の更迭

 商用車のリーディングカンパニーでありながら、長年に亘って認証不正を繰り返してきた日野自動車は、このところ社内改革を進めるとともに改善策を相次いで発表している。

 2022年10月7日には、同年3月4日以降に公表された一連の不正行為に関連して、取締役ら4人の辞任(事実上の更迭)、国交省への「再発防止報告書」の提出、不正を起こさないための「3つの改革」の策定・公表を行なった。

 日野が不正を行なっていたとされる約20年の間には、国土交通省から認証申請上の不正行為の有無について報告要求もあったが、そこでも虚偽報告を行ないさらに不正を重ねた。このことは、企業としての存在意義を問われる極めて重大な問題であるとした。

 弁解の余地が全くない問題に対して、「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」という会社の使命に立ち返り、二度と不正を起こさないよう全社を挙げて改革を推し進める。そのためには経営責任を明確化する必要があり、この度、取締役・専務役員ら4人が辞任した。

 いわゆる「生え抜き」役員に対する事実上の更迭で、親会社のトヨタ出身である小木曽聡社長らは続投する。

 併せて品質本部本部長の降職、代表取締役を含む取締役・専務役員の報酬減額、過去に代表取締役を務めた元役員および本問題への関与が指摘された元役員の報酬自主返納なども発表した。

 これらの人事異動に伴う組織改正として、コーポレート本部、生産本部を廃止したが、改革遂行に向けた新たな執行体制が整うまでの暫定措置としている。

国交省へ「再発防止報告書」

 同時に日野は国土交通省へ「型式指定に係る違反に対する再発防止報告書」を提出した。これは9月9日付けの同省からの是正命令に対応するもの。

 報告書では是正命令の指摘を踏まえ、不正行為の直接的な原因である開発・法規認証のプロセスに対してすでに講じてきた再発防止策に加え、不正の背景となった経営および企業風土の問題に対する抜本的な対策を着実に進めていくとした。

 報告書の概要は「不正行為を起こし得ない型式指定申請体制の構築」「開発部門の業務実施体制の改善」「社内の技術管理体制の再構築」といった抜本的な再発防止策を策定し、型式指定に係る違反を是正する、というもの。

 これらの防止策を1か月以内に報告するとともに、その後は当面の間、四半期ごとに報告する。

 今後、各種施策の着実な実行と併せて、取締役会ならびに外部専門家を含むコンプライアンス委員会にて進捗を確認し、実施状況については、国土交通省への報告とともに、その内容を公表する。

「3つの改革」のはじめは経営の人心一新

 一連の問題は、経営が現場に寄り添えず、収益や台数といった量的拡大を優先し、法令順守や健全な企業風土の醸成が疎かになったことを背景に起こった。

 日野は、あるべき「クルマづくり」を見失わず、過ちを繰り返さない企業風土を醸成するために、6月から新企業理念「HINOウェイ」の社内展開を初め、この基本理念の浸透を図っている。

 また、特別調査委員会による調査結果を受けて8月に「今後3か月をめどに取りまとめる」としていた、二度と不正を起こさないための対策を「3つの改革」として策定した。

 その1つ目は経営改革で、経営層が覚悟を持ち、率先垂範により全社改革を断行するとした。「誠実」「貢献」「共感」を判断基準に、経営の人心を一新する。

 経営層が現場の声に耳を傾ける機会を増やし、同時に経営層のコミットメントとして行動宣言を提示し、その実践に対して従業員による評価を行なう。セクショナリズムや根回しの常態化、部署間のコミュニケーション不足を解消し、経営層と従業員が「一緒に考え一緒に走る」体制を実現できるような組織を目指す。

 また「正しい仕事」の実践を担保するため、内部統制システムと経営監督機能の強化を図るとともに、自浄作用が働くように、内部監査の体制拡充・実効性の外部評価を行なう。

 取締役会に対しては外部機関による実効性評価を行ない、議論の重点を事業目標達成から経営基盤強化へシフトする。

 そのほか、多様性のある人員構成への見直し、この問題を定期的に振り返り考える機会の設定や社内常設施設による展示なども行なう。さらに、外部専門人材の登用や経営層・従業員の意識向上のためにコンプライアンス強化を推進する。

次ページは : 企業風土の改革と「クルマづくり」の再定義

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