日野チームスガワラは、ダカールラリー2012年大会に新型レーシングトラックを投入し、トラック部門「排気量10リッター未満クラス 3連覇」「21回連続完走」を果たしたが、このほど次回の2013年大会の参戦が正式に決定し、早くも準備段階に入った。
南米での5回目の開催となるダカールラリー2013は、開催地としては2度目となるペルーの首都リマを1月5日にスタートし、太平洋沿岸部を南下。標高7000mにもおよぶアンデス山脈を越えてアルゼンチン入りし、同国のサトウキビ生産が盛んなトゥクマンで休息日(1月13日)を迎える。その後、再びアンデス山脈を太平洋側に越え、1月20日、チリの首都サンティアゴでゴール。スタート直後には大砂漠の横断、中盤には2度にわたるアンデス山脈越え、ゴール直前には世界一乾燥しているとされるアタカマ砂漠が行く手を阻み、過酷なステージが連続して待ち受ける難コースだ。
毎回排気量が倍以上におよぶレース専用車そのものの欧州のモンスタートラック勢と競い続けてきた日野チームスガワは、モンスタートラックのライバルとして毎年注目されるも、特に開催地が南米に移ってからは、ハイスピード・ハイパワー化が一層進み、総合上位争いが激化。出場チームのレベルアップに伴いコース設定の走破難易度もあがり、ダカールラリーは「冒険ラリー」の要素もはらみながら、「レーシングラリー」へと姿を変えつつある。
2012年大会では「ミッドシップエンジンレイアウト」「300kgの軽量化」「冷却性能の向上」の効果によって、クラス3連覇を果たし、総合トップとのタイム差を10%縮めた。日野チームスガワラは、この成果を確実に引き継ぎ、2012年大会からスタートした3カ年計画の2年目となる次回大会では、さらなる車両性能の向上を目指す。
その概要は、より広いエンジン回転域で高トルクを発生するコモンレール化エンジンを搭載。足回りは、最低地上高を確保し走破性を向上するためにハブリダクション付の新アクスルを採用。このアクスルには、ディスクブレーキを装着し、制動力・操作性の向上を図る予定だ。
今までのパワーラインとは異なるシステムをもつ車両は、レース本番で予想できないトラブルが発生するリスクもあるが、日野チームスガワラは、更なる高みを目指すために、試練の年として果敢に挑戦することを決断。今回も、日野車の「高い耐久性・信頼性」を実証すべく、日野の開発機能を中心に精鋭が集まり、多くの人々の期待に応えるために新型レーシングトラックの製作に取り組んでいる。
もちろんドライバーは、2012年大会で史上最多の30回連続出場(世界ギネス記録)を果たし、史上最多20回連続完走記録保持者でもあり、レースでは”Japanese Legend in Dakar”と称される菅原義正氏と、義正氏の次男でエースドライバー照仁氏。レース結果の的確なフィードバックと豊富な経験に基づくノウハウをもつ二人が、日野および部品メーカーの開発者と力を合わせて開発に取り組み、次回も”Little Monster, HINO”を駆り、大排気量のモンスタートラック勢に挑むことになる。
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