自動車には型式とは別に、名前(車名、ペットネーム)が存在する。乗用車でいうと、クラウン、スカイライン、プリウスなどがそれで、モデルチェンジとともに変わる型式が世代を表すものだとすれば、モデルチェンジ後も継続使用されることの多い名前は、世代交代してもあまり変わることがない自動車の位置付けや役割を表現しているものといえるだろう。
もちろん働くクルマであるトラックにも車名は存在。欧米ではアルファベットと数字を組み合わせた商用車然としたものも多いが、日本のトラックはすべて「何か」を意味するであろう名前が付けられている。
というわけで今回は、国産トラックの名前を深く掘り下げて、その由来や、名前に込められた意味を探ってみた!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
【画像ギャラリー】名は体を表す!? 名前でも個性を発揮する国産トラックたち!!(8枚)画像ギャラリーオリジナルの造語を多用する
日野のトラックの名前
日野自動車が現在販売しているトラックは、大型トラック「日野プロフィア」、中型トラック「日野レンジャー」、小型トラック「日野デュトロ(ハイブリッド含む)」の3モデル。
日野プロフィアは1992年にスーパードルフィン・プロフィアとして登場。車名はProfessional(専門の)、Profit(利益)、Fine(優れた)、Ace(第一人者)を組み合わせた造語。ちなみにスーパードルフィンは「イルカのような洗練されたスタイルと知能を併せ持つ」という意味だそうだ。
日野レンジャーは1964年に初代モデルが登場。英語で「部隊」などを意味する車名は、デビュー時に一般公募から選ばれたものだ。
日野デュトロは1999年に初代モデルがデビュー。名前は「ドラマチックで洗練された運搬・輸送を提供する」を意味するDramatic&Urbane Transport Offerのイニシャルからとられたいるという。
シンプルだけど奥が深い
いすゞのトラックの名前
いすゞ自動車は現在、大型トラック「ギガ」、中型トラック「フォワード」、小型トラック「エルフ」の3モデルを発売している。
ギガは1994年に初代モデルが登場。車名は英語で「10億」を意味し、いすゞが扱う一番大きな商品であることから命名された。ちなみにギガの前のモデルの810(はちいちまる)は、当時の開発コード「810(発展)」がそのまま車名になったものだ。
フォワードは1970年に初代モデルが登場。車名は英語で「前進」を意味し、前進する、促進するの意味により広がりを表し、車種構成の豊富さ、仕事の発展の意味を願ったもの。
エルフは1959年に初代モデルが登場。車名は英語で「妖精」を意味し、力があり小回りがきく機動性の高さを表しているという。
キャラクター分けが明確な
三菱ふそうのトラックの名前
三菱ふそうは現在、大型トラック「スーパーグレート」、中型トラック「ファイター」、小型トラック「キャンター」の3モデルを発売している。
スーパーグレートは1996年に初代モデルがデビュー。車名は英語で「極上の」という意味を持つSUPERと、「偉大な」という意味を持つGREATを合体させたもの。ちなみに前モデルはザ・グレートである。
ファイターは1984年に初代モデルが登場した。詳しい由来は明かされていないが、車名は英語で「闘士」という意味だ。
キャンターは1963年に初代モデルが登場。車名は馬術の「短縮駈歩(かけあし)」や「(馬の)駆け足」の意味で、詳細は定かではないが、小型トラックの軽快さや機敏さを表したものと思われる。
日本語アレンジがユニークな
UDトラックスのトラックの名前
UDトラックスは現在、大型トラック「クオン」、中型トラック「コンドル」、小型トラック「カゼット」の3モデルをラインナップ。このうちコンドルとカゼットはOEM車となる。
クオンは2004年に初代モデルが登場。車名は永久と同意義の「久遠」に由来し、限りなく続く時の流れを表す。ちなみに前モデルのビッグサムの車名は英語の「親指」に由来し、偉大さや頼りがいを表している。
コンドルは1975年に初代モデルが登場。当初は自社製だったが、現在はいすゞフォワードのOEM車となっている。車名は猛禽類のコンドルに由来する。ちなみにUDトラックスの前身の民生デイゼル工業には同名のバスが存在した。
カゼットは2014年に登場。現在は三菱ふそうキャンターのOEMだが、以前は日産アトラスやいすゞエルフのOEM車をコンドルとして販売していた。独特の名前は「風」の造語で、「街に元気を届ける、爽やかな風のように働くトラック」という意味が込められているという。
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