小型トラックの選択肢として近年注目されているバッテリーEV。市場規模はまだ小さいが、輸送のカーボンニュートラル化に取り組む物流企業の関心は高い。近年増えているのが高性能で低価格を特徴とする中国製EVトラックを提案する動き。国内の中古トラック建機流通企業、トラックオーコク(東京都渋谷区)もその1つだ。今回は、同社が扱う「フォトンeオウマーク」を公道で試乗したのでレポートしたい。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
中国大手メーカーが本気で開発した小型EVトラック
フォトンeオウマークは中国5大トラックメーカーの一角にして、同国小型トラックシェア1位の北汽福田汽車(FOTON=フォトン)が開発した「欧馬可
・智藍」の海外向けモデルだ。
日本ではフォトンの現地法人、日本福田汽車が2024年から約1年間にわたり大手物流グループと共同で日本仕様の実証実験に取り組み、翌25年に環境優良車普及機構の「商用車等の電動化促進事業」の補助対象車両として登録。トラックオーコクが代理店となって取り扱いをスタートしている。
アフターサービスは全国の整備工場76拠点およびロードサービス企業と提携してサポート。なお同型車をフォトンから調達、独自ブランドで供給するファブレスメーカーのZOモータースとはまったく無関係となる。
国産車から乗り換えても違和感の少ない運転席
今回試乗したeオウマークは国産トラックの「3トンワイドロング」に相当するGVW6トン級車で、ホイールベース3360mmの日本市場向けバン専用シャシーをベースにアルミバンボディを架装した完成車。サイズ感は国産3トンワイドロング車と同じだ。
駆動方式はFR。運転席下に最高出力156PS/最大トルク30.6kgmを発揮する走行用モーターを搭載し、総容量81.4kWhの走行用バッテリーを左右ホイールベース間に搭載。1充電あたりの航続距離はWLTPモードで173kmである。
乗車定員は3名。運転席シートは比較的大きめのサイズで質感も高く、4時間ほどの試乗でも疲れなかった。ダッシュボードには追加スイッチ用スペースも用意される。左右サイドミラーは欧州型で、国産車より鏡面が大きいため視界は良好。鏡面角度は電動調整可能だが、格納ができないのは都市部では少々不便である。
メーターパネルは中央にカラーLCDを配置。さまざまな情報表示が可能で、言語も日本語だ。小径のD型ハンドルは操作性良好でチルト機能も備わる。ウインカーレバーは右側で、国産車から乗り換えても違和感がない。シフトレバーはダイヤルでR、N、Dの3ポジションを操作するタイプ。パーキングブレーキは電動だ。
走りと乗り心地は国産車にも匹敵!
試乗ルートは往来の激しさで知られる神奈川県相模原市の一般道。荷台は空荷である。トルクの大きいEVの走りはエンジン車の流れをリードすることなど造作もなく、急坂もかまわず駆け上がってしまえるし、低速でのドライバビリティも優秀。パワステの操舵感も良好だが、前輪舵角がやや小さく最小回転半径は6.75mと国産よりやや大きくなっている。
国産EVトラックとの大きな違いがブレーキで、補助ブレーキがなく、制動はフットブレーキで行なう必要がある。補助ブレーキの代わりになるのが回生協調ブレーキというシステムで、フットブレーキを踏むと油圧ブレーキと回生ブレーキをブレンディングしながら必要な制動力をもたらす。
実際に走らせてみると特に違和感なく扱える印象。ブレーキペダルのストロークがかなり大きいので最初は踏み加減に迷うが、そのうち慣れる。今回は空車だったが、機会があれば積載量が変化した際の効き方も試してみたいところだ。
相模原市内をエアコンONで約4時間走行してバッテリー充電率は95%から78&になっていた。渋滞や急勾配の上りが続く区間もあったが、メーター表示の残り航続距離は129kmで、航続距離は充分と言えるだろう。
eオウマークは想像以上によくできたクルマで、走りと乗り心地は国産車にも引けを取らない。日本福田によると、eオウマークのドライバビリティや運転フィーリングは世界共通で、今後も日本向けEVトラックのアップデートを行なっていきたいとのこと。国産車に対して高い価格競争力をもつeオウマークは侮れない1台である。
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