世界初の量産型燃料電池大型トラックとされる現代自動車のエクシェントFCが、ル・マン24時間耐久レースに参戦するジェネシス・マグマ・レーシングを支えている。
モータースポーツはレースに伴い短期間で大量の物流が発生するため脱炭素化が難しいとされるが、水素による低炭素化を実証した。また、ピットクルーの負担を軽減するウェアラブルロボットが導入され、パドックでは最新のコンセプトカーも世界初公開した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Hyundai Motor Company
「ル・マン」参戦を支える現代自動車の水素トラック
韓国・現代自動車の燃料電池電気自動車(FCEV)となる大型トラック「Xcient Fuel Cell」(エクシェントFC)がフランスのル・マンで開催された耐久レース「ル・マン24時間レース」に登場し、初めてル・マンに参戦したジェネシス・マグマ・レーシング(韓国)を強力に支援した。
エクシェントFCは水素を燃料に発電する燃料電池を搭載し、CO2を排出しない貨物輸送を実現する大型トラックで、今回は特に脱炭素化が難しいとされるモータースポーツ分野に試験導入された。
また、ピットクルーの負担を軽減するためウェアラブルロボットを導入したほか、パドックでは「ジェネシス」ボックスバギー・コンセプトが世界初公開され、こちらも注目を集めた。
耐久レースの最高峰は今回で94回目で、現代の挑戦は韓国のモータースポーツ史に残る画期的な出来事だ。水素トラック部門とロボティクス部門もル・マン24時間のハイパーカークラスへの参戦を支援しており、エクシェントFCとウェアラブルロボット「X-bleショルダー」が、舞台裏からチームを支えた。
プロのレーシングチームの運営には、膨大な物流業務が伴う。サステナビリティとの両立は非常に困難な要求で、現代はエクシェントFCをあらゆる貨物輸送に導入することでジェネシス・マグマ・レーシングを支えた。
エクシェントFCはチームの試験用機材からスペアパーツ、精密機器などル・マン完走に必要な全ての機材を、排出ガスを一切出さずに運んだ。これは世界的なモータースポーツのイベントにおいて、水素による物流が実現可能であることを実証するものとなった。
同車は世界初の量産型FCEV大型トラックであり、欧州では5カ国で合計175台が運用されている。その累計の走行距離は2180万kmを超えているそうだ。
ロボット技術と未来のモビリティ
過酷な24時間耐久レースにおいては、ピットクルーの体調管理も重要な戦略的要素となる。現代自動車とグループの起亜自動車が共同開発した産業用ウェアラブルロボットX-bleショルダーが、クルーの身体的負担を軽減するために導入された。
チームのハイパーカー「ジェネシス・GMR-001」は各タイヤの重さが約13kg。レースでは、クルーは車両1台当たり最大56本のタイヤを扱う。身体的な負担は相当なものだ。X-bleショルダーは肩関節への負荷を最大で60%軽減するほか、筋肉の疲労も約30%減少するという。
産業用のウェアラブルロボットは工場などの作業現場での活用が期待されるが、今回はレーシングチームに導入され、より幅広い分野で安全かつ効率的な作業を支援する可能性が示された。
いっぽう、高速周回路から離れたパドックではジェネシス・ボックスバギー・コンセプトがグローバルデビューを飾った。
ピットレーンでVIP用のシャトルとしても活用された同車は、現代モービスの先進モビリティプラットフォームをベースに構築されたコンセプトカー。ステア・バイ・ワイヤ技術により各輪が独立制御され、最大90度まで回転可能。これにより横方向への「カニ歩き」や、360度のスピンといった動きも可能になり、混雑したパドックを自在に走行する。
特徴的な外観のコンセプトカーだが、2本のラインランプは現代・ジェネシスの象徴であり、ル・マンでは160馬力の実用的なユーティリティビークルとして活躍し、レース以外でも人々を魅了した。
【画像ギャラリー】現代・エクシェントFCとル・マン24時間レース(6枚)画像ギャラリー








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