新車アセスメントプログラム(NCAP)は自動車の安全性について、星の数(最高は5つ星)でわかりやすく評価したもので、特に欧州のユーロNCAPが有名だ。2024年にユーロNCAPの対象が大型トラックまで拡大し、長距離輸送用トラクタの安全性評価が行なわれている。
2回目となる今回は主に単車系トラックとして6メーカー15モデルの評価が実施された。前回唯一の最高評価だったボルボは単車系でも5つ星を獲得したほか、前回3つ星だったダイムラーにも最高評価が与えられ、雪辱を果たした。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Euro NCAP・AB Volvo・Daimler Truck AG
ボルボ、大型リジッドトラックでも「ユーロNCAP」5つ星
ボルボ・トラックスはユーロNCAPによる安全性評価で再び最高の5つ星を獲得した。
ユーロNCAPの評価対象が大型トラックまで拡大したのは2024年で、最初に公表されたのは長距離輸送用の大型トラクタ(セミトレーラけん引車)の評価だった。ボルボの「FHエアロ」及び「FM」トラックのみが5つ星を獲得していた。
ユーロNCAP2025は大型リジッド系トラックを試験し、ボルボの両モデルは前回に続いて6×2リジッド系でも再び最高評価となった。
なお、「リジッド」(=単車)は連接点を持たない車両を指し、「6×2」は3軸(6輪)のうち1軸(2輪)が駆動するトラックを指している(単車の大型トラックで最も一般的な車両)。また、前回の評価車両に対して安全装備の拡充等が図られた長距離トラクタの再評価も行なわれている。
ユーロNCAPを「連覇」したボルボ・トラックス社長のロジャー・アルム氏は次のように話している。
「ユーロNCAPがこれまでに評価したボルボの全ての大型トラックが、安全性において最高の5つ星を獲得していることを大変誇りに思います。これは私たちのトラックの卓越した安全性能を裏付けるものです。
お客様は弊社に最高の安全性を期待しています。今回、第三者機関により、私たちがその約束を果たしていることが証明されました。ボルボは事故ゼロという未来に向けて、今後とも努力を続けてまいります」。
大型トラックの安全性評価を開始したユーロNCAP
新車アセスメントプログラム(NCAP)は自動車の安全性を消費者に分かりやすく評価するための取り組みとして米国で始まり、今では世界中に広まっている。欧州ではベルギーに拠点を置くユーロNCAPが1996年に設立され、主に乗用車の安全性評価を行なってきた。
欧州連合や各国政府が支持し、独立性や透明性などで定評のあるユーロNCAPによる評価は、自動車メーカーの開発方針にも影響を与える。大型トラックの評価は、それぞれの安全システムごとにスコアが与えられ、分野ごとに集計され、全体の安全性を星の数によって表現する。
トラック評価のスコープは次のようなものとなる。
安全運転
乗員のモニタリング、視界(直接視界とカメラ等による間接視界)、運転支援技術など
衝突回避
自動車、歩行者、自転車等に対する衝突回避システム、低速走行時の接触防止、車線逸脱の防止・車線維持システムなど
ポストクラッシュ
衝突後のレスキューに関する情報など
最高評価である5つ星は、運転支援や衝突回避などユーロNCAPの定める全ての基準を満たすか、超過達成していることを表している。また、特に都市部での交通安全に効果がある車両に対しては「シティ・セーフ」認定を与えており、ボルボは前回に続いてリジッド系2モデルでもシティ・セーフに認定された。
ボルボで交通&商品安全ディレクターを務めるアンナ・リゲ・ベルリング氏は次のように話している。
「ボルボ車の安全性は世界中で知られています。安全は私たちにとって中核的な価値であり、伝統の礎です。この評価は、私たちの取り組みが正しかったことを証明していますが、だからと言って安心はできません。弊社が開発する全ての商品において、トラックを更に安全にするための努力を続けて行きます」。


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