国内初の量産型電気小型トラック「eキャンター」を2017年に発売した三菱ふそうは、EVトラックの普及拡大に向け、さまざまな環境整備の取り組みを進めている。
その一環として今回、ミドリ安全および日本ゴアと共同で、世界初となる電気自動車(EV)関連業務専用作業服「ARCTECT GEAR for EV」を開発した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/三菱ふそう・ミドリ安全・フルロード編集部う
「ARCTECT GEAR for EV」の特徴
3社が共同開発した「ARCTECT GEAR for EV」は、整備や試験、組み立てなどEVを扱う幅広い現場での活用を想定。EVの高電圧対応における安全性と、業務で求められる作業性を両立した作業服である。
EVの普及が進む中、整備の現場では内燃機関車とは異なる高電圧システムへの対応が不可欠だ。
特にバッテリーを扱う際には感電やアーク放電など重大事故のリスクがあり、作業者は高電圧に関する専門知識を備えると同時に、高電圧対応の作業服を着用することが安全確保のうえで欠かせない。
またEV整備現場における作業服には、狭所での作業に耐える可動性、閉所での体温調節・吸汗速乾機能、高電圧と低電圧の切り替えへの対応などが求められる。加えて、安全機能は想定される使用期間中に著しく劣化してはならないという条件もある。
こうした課題に応えるべく開発されたのが「ARCTECT GEAR」だ。アーク熱に対する防護性、軽量性、透湿性を備える日本ゴアの「PYRAD(R)ファブリクス by GORE-TEX LABS」生地を採用し、トレーニングウェアのような着心地と必要な作業性を実現している。
さらに、ミドリ安全が70年以上にわたり培ってきた安全衛生保護具開発の知見を活かし、日本ゴアとの共同検討を通じて、作業性を損なうことなく高電圧作業環境に対応可能な安全性を確保した。
この作業服は、最大1500VDC(直流電圧)および1000VAC(交流電圧)までを扱う環境で必要とされる「IEC/EN 61482-2」をはじめ、アーク熱防護性を含む複数の国際規格認証を取得している。
ミドリ安全は同等の機能を持つ製品を2026年夏より法人向けに販売予定。また三菱ふそうは、2026年から複数の海外サービス拠点でメカニック向けに「ARCTECT GEAR」を導入する計画だ。
【画像ギャラリー】「ARCTECT GEAR for EV」をギャラリーでチェック(5枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方