日野自動車は9月17日、水素燃料電池(FC)から電気を得て走行する大型トラック「日野プロフィアZ(ズィー)FCV」の市販モデルを発表した。今年10月24日から地域限定でリース販売を開始する。同車は「ジャパンモビリティショー2025」にも出品する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/日野自動車、フルロード編集部
パワートレーンの構成を継承しつつ大幅改良
日野プロフィアZ FCVは、電気自動車(EV)の一種ながら、幹線輸送に充分な航続距離と積載性能を確保する大型トラックとして、開発が進められてきた。2023年から物流事業者4社およびトヨタ自動車での実証営業運行を実施しており、走行距離は延べ40万kmに及んでいる。
市販モデルは、プロフィアの車両総重量25トン・3軸シャシーに、トヨタ製のFCスタック2基と水素タンク6本およびFC用冷却系、高電圧バッテリーパック2基、eアクスル(モーターと駆動軸を一体化した電動ドライブアクスル)2軸を備える構成で、ほぼ実証車を踏襲するものの、大幅な改良が行なわれている。
トヨタのFCEV乗用車「MIRAI」と同じFCスタックは、高負荷で使われる大型トラックでの運用に対応すべく、実証車の段階から耐久性を重視した専用制御を盛り込んでいたが、市販モデルではその専用制御をさらに改良している。また、FCスタックの作動温度を最適な状態に維持すべく、冷却系は熱交換器の面積拡大などいっそうの強化が図られている。FCで発電した電力や回生した電力をストレージする高電圧バッテリーは、実証車とは異なるリチウムイオン電池を新たに採用した。
6本の水素タンクには、重量換算で計50kgの水素ガスが70メガパスカルの圧力で充填される。現在実証試験が進められているミディアムフロー・ツインノズル充填システム(東京・平和島と福島・浪江の2ヵ所で稼働中)にも対応しており、水素充填時間は15分ほどで済むという。1充填満タンでの航続距離は約650kmで、東京~福島間を往復できる能力に相当する。
市販モデルの生産は、日野・古河工場のプロフィアディーゼル車と同じラインで行なわれる。将来の『Z FCV』普及時に備え、生産面でもFCEVにいち早く対応しておこうという取り組みだ。市販モデルでは、実証車に対して水素タンクのマウント方式などを改め、組付工程の生産効率を改善したという。
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