百聞は一見に如かず! スカニアがバッテリーEVトラック6台で欧州を巡る体験ツアー

百聞は一見に如かず! スカニアがバッテリーEVトラック6台で欧州を巡る体験ツアー

 トラックの電動化が進む欧州でも、運送事業者の間にはBEVトラックに関する疑問や懸念が残っている。

 EVシフトを進めるスカニアは集配送用の単車から特装トレーラまで、仕様の異なるBEVトラック6台で欧州を巡るツアーを行なう。百聞は一見に如かずということで潜在的な顧客にBEVを体験してもらい、トラックの電動化に対する理解を推進する狙いだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Scania CV AB

スカニアがBEVトラック6台で欧州周遊へ

百聞は一見に如かず! スカニアがバッテリーEVトラック6台で欧州を巡る体験ツアー
スカニアはBEVトラック6台で欧州を周遊する

 トラックの電動化が進む欧州でも、様々なタイプのバッテリーEV(BEV)トラックを一度に目にする機会は多くない。スカニアは2025年8月15日、トラックの電動化に対する理解を推進するため、仕様の異なる6台のBEVトラックで欧州各国を巡るツアーを開始すると発表した。

 8月中旬から12月中旬まで、6種類の異なるBEVトラックで欧州の13都市を巡り、顧客や潜在的な顧客に実際のBEVトラックを体験してもらう機会を設けるという。

 イベントはデンマークをスタートし本拠地のスウェーデンにゴールする2万kmの行程で、バッテリー充電戦略に関する議論のきっかけとしても期待される。また、BEVトラックのバッテリー容量と積載量はトレードオフ関係にあるため、大容量バッテリーを搭載することのメリットとデメリットなど、実際の運行に基づいた最適化についても議論を深めることにしている。

 ツアーに参加するトラックは、物流用から特装用まで仕様は様々で、欧州各地に整備が進められている充電施設のうち、事前に決められた施設でツアー中の充電を行なうことにしている。

 このロードショーは、持続可能な輸送を実現するためインフラと技術の許す限りトラックの電動化を進めるという、スカニアの揺らぐことのないコミットメントを強調するもので、輸送を電動化した場合のスカニアのエコシステムについて説明し、同社のソリューションを提供・促進するための新しい取り組みとなる。

 スカニアでEモビリティチームを率いるアレクサンドラ・オスタープラン氏は次のように話している。

「依然として多くの運送事業者様が輸送の電動化に関して疑問や懸念を抱いていることを、私たちは理解しています。ですから、お客様が私たちのところにやってくるのを座って待っているわけには行かないのです。

 私たちがBEVトラックを運転してお客様の元に行き、電動化がもたらすビジネス上の利点を、お客様自身に見て、体験していただくとともに、バッテリーに関する疑問に答えたり、充電技術と戦略についてアドバイスしたりする予定です。

 弊社のBEVトラックに試乗したお客様からは、驚きと肯定的な反応をいただいており、輸送の電動化に関してはまさに『百聞は一見に如かず』だということがわかりました。今回のロードショーを通じてお客様も電動化に納得していただけると確信しています」。

欧州各都市で試乗も可能

百聞は一見に如かず! スカニアがバッテリーEVトラック6台で欧州を巡る体験ツアー
電動機の「EM C3-6」。3モーター・6段ギアで400/450kW(540/610hp)を発揮する同機は、スカニアの伝説的なV8エンジンの電動バージョンに相当する。ギアの入力シャフトを2系統備え、車両の走行中もPTOを駆動することができる(1モーターの電動機ではPTOの作動は停車時のみ)

 欧州の各都市を回るBEVトラックは試乗も可能だといい、仕様や架装はそれぞれに異なっている。車両タイプは次の通りで、キャブは日本でも人気の「R」や「P」、汎用の「G」、低床キャブの「L」など、架装は都市物流用の単車、ダンプ、セミトレーラ連結車、ゴミ収集車、フックリフト、大型トラクタ(特装トレーラ連結車)となっている。

23 P B4x2NB
車両タイプ: 都市集配送
電動機: EM 230 C1-2
バッテリー容量: 400 kWh

36 P B6x4NB
車両タイプ: ダンプ
電動機: EM 360 C1-4
バッテリー容量: 400 kWh

40 R A4x2NB
車両タイプ: セミトレーラ連結トラクタ
電動機: EM 400 C1-4
バッテリー容量: 600 kWh

27 L B6x2*4NB
車両タイプ: ゴミ収集車
電動機: EM 270 C1-4
バッテリー容量: 400 kWh

27 G B6x2*4NA
車両タイプ: フックリフト
電動機: EM 360 C1-4
バッテリー容量: 400 kWh

40 R A4x2NA
車両タイプ: トラクタ
電動機: EM 400 C3-6
バッテリー容量: 600 kWh

 なお、シャフトを介して後軸を駆動するセントラルドライブ方式を採用するスカニアでは、モーターやトランスミッションを一体化した装置を電動機(エレクトリック・マシーン)と称しており、出力・モーター数・ギア段で表記している。例えば「EM 400 C3-6」なら、出力400kW/3モーター/6段ギアの組み合わせとなる。

 従来のディーゼル車の展開でいうと、スカニアの代名詞ともいえるV8エンジンに相当するのが「EM C3-6」系(540~610hp)、13Lのスーパーシリーズに相当するのが「EM C1-4」系(360~540hp)、9L級エンジンに相当するのが「EM C1-2」系(280~320hp)となり、BEVでも豊富な車型を展開している。

【画像ギャラリー】欧州を周遊するスカニアのBEVトラックを画像でチェック!(9枚)画像ギャラリー

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