トラックの自動運転システムを開発するスタートアップ、ロボトラックは、プレシリーズAラウンドの第三者割当増資で約12億円の資金調達、並びに経営体制強化をこのほど実施した。
第三者割当増資による資金調達は前回のシードラウンド(スタートアップ等が準備段階で行なう資金調達)からプレシーリズA(ビジネススタートの前段階などに行なう)に移行し、いよいよ本格始動が開始する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/ロボトラック、フルロード編集部
【画像ギャラリー】ロボトラックの自動運転トラックをギャラリーでさらに見る(9枚)画像ギャラリーロボトラックとは?
日本のトラック業界では、2027年には高速道路において完全無人で走るレベル4自動運転トラックを活用した幹線輸送の事業化が始まろうとしており、現在官民挙げて自動運転技術やそのインフラ技術の開発・実証が加速している。
そうした中、早稲田大学で自動運転の技術研究に従事し、2016年に米国にて創業した自動運転スタートアップ、Tusimpleの共同創業者でもあるナン・ウー氏によって2024年4月にロボトラックが日本で設立された。
同社は設立間もないスタートアップであるが、ナン・ウー氏としてはTusimpleで世界初のレベル4自動運転大型トラックの開発を主導し、米・ナスダック市場上場(2021年)まで経験。
また日本では2017年に設立したTusimple Japanの代表を務め、本格始動した2023年に当時日本最高記録となる東名・新東名高速での約270kmに及ぶレベル4自動運転トラックによるテスト走行(走行は人が乗る「レベル2」で実施)の成功をもたらしている。
ロボトラックは、そのTusimple Japanの技術者チームとノウハウなどのアセットを引き継ぎ、「世界最高水準」を謳う自動運転技術の確立を目指し設立された企業で、これまでの実績と独自に開発するAIアルゴリズムや技術が評価され、経済産業省の「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援事業」に採択。
今年2025年2月の同実証において、新東名高速・駿河湾沼津SA〜浜松SA間にて約100kmの「レベル4」相当の走行テストに成功した。
また今後は、2025年度に東京〜名古屋間(約300km)、2026年度に東京〜大阪間(約600km)での「レベル4」相当の実証実験、そして2028年度にはレベル4自動運転システムの上市を計画している。
経営体制の強化と事業開発の加速
ロボトラックは今年3月に東大IPC、PKSHA Algorithm Fund、AIS CAPITALなどを引受先としたシードラウンドの第三者割当増資により、3億円の資金調達を実施しており、これを活用しコア技術を独自に開発。前述の新東名高速・駿河湾沼津SA〜浜松SA間約100kmの走行テストに導入し成功を収めた。
そしてこのほど、グロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として、オリックス、
Archetype Ventures、Mizuho Leaguer Investment、ON&BOARD、イクヨ、富岡仁(遠隔操作技術を開発するTelexistence代表取締役CEO)を引受先とした新規投資家、並びにシードラウンドの既存投資家からの追加調達を含め、プレシリーズAラウンドの第三者割当増資により約12億円の資金調達を実施。
今回の払込みによって、主に技術開発体制の強化を図り、既存投資家・新規投資家と共に事業開発を加速させるとしている。
またオリックスとは、同社子会社であるオリックス自動車を筆頭に、開発するレベル4物流自動運転システムの事業化に向けたパートナーとして協力体制を築くことが予定され、自動運転サービスの提供開始に向けた顧客開拓にも取り組むとしている。
いっぽう、今年6月にはSkyDrive社のCOOとして空飛ぶクルマ・ドローンに関するビジネス全般をリードしてきた羽賀雄介氏が共同創業者として代表取締役CEOに就任した。
羽賀氏は慶應義塾大学を卒業後、三菱商事に入社し、自動車事業にていすゞ自動車の東南アジア向け営業・マーケティング業務に従事。
帰国後は宇宙航空事業にて、中央省庁向け新規事業開発・大手企業とのジョイントベンチャー設立・スタートアップ投資案件等も手掛けてきており、モビリティ及びスタートアップでの豊富な実務経験を活かし、ロボトラックの成長に貢献していくとしている。
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