ドイツの自動車部品メーカー・ZFフリードリヒスハーフェンが新事業部の発足を発表。2020年に買収したワブコ社に由来する部門など、商用車に関する事業部を統合した。
新たに設立した「商用車ソリューションズ事業部」は、トラック、バス、トラクタ、トレーラなどの商用車向けに、あらゆる部品やシステムを一社で提供する。商用車に関しては間違いなく世界最大のサプライヤーとなる。
また、日本においては国内の3法人を合併し「ゼット・エフ・ジャパン」を設立。経営資源を集約するとともに開発力を強化し、カーボンニュートラル実現に向けた新規事業も視野に入れる。
ZFが新事業部を設立した目的は? 日本の新会社の戦略は? 商用車の世界で圧倒的な存在感を放つ、ZFという会社について解説する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/ZF
商用車事業の強化を進めるZF
ドイツの自動車部品サプライヤー・ZFフリードリヒスハーフェン(以下、ZF)は2022年1月1日付で、新たに「商用車ソリューションズ(CVS)事業部」を発足したと発表した。
新事業部は、ZFの「商用車テクノロジー事業部」と買収したワブコ(ベルギー)に由来する「商用車コントロールシステムズ事業部」を統合したもの。
これにより、ZFは世界最大の商用車サプライヤーとなり、車両の電動化、デジタル化、自動化、ネットワーク化といったコアテクノロジー分野で、世界のトラック・商用車業界を主導する。
ZFは2020年5月にトラック・トレーラ用のブレーキやサスペンションなどを製造するワブコ社の買収を完了、商用車分野の部品メーカーとしては独走感を強めていた。
今回、商用車に関係する部門が新事業部に統合されたことで、名実ともに世界最大の商用車部品のサプライヤーが誕生した。
ZFのノウハウが結集した新事業部
ZFは新事業部について「商用車に関するZFのノウハウを集結し、安全かつ持続可能でデジタル化された輸送ソリューションを大幅に進化させる」としている。
ZFの取締役で新事業部の責任者を務めるウィルヘルム・レーム氏のコメントは次の通り。
「当社の幅広い技術領域とグローバル市場での高い存在感により、お客様の製品ポートフォリオ変革に必要なソリューションを一社で提供することができます。これによりこの事業部はZFグループの成長と収益性に大いに寄与しています」
また、商用車業界における世界最大の部品およびシステムサプライヤーとしての地位を確立ししたことについて同氏は次のように話している。
「地域別の組織構造という新事業部の特徴を活かし、トラック、バス、トレーラのメーカーだけでなく、フリートオペレーター(運送会社)のお客様が世界中のどこにいても、お客様の傍で大きな利益を提供することが可能です。CVS事業部は、ZFのグローバル成長戦略を加速させます」
ZFの商用車ソリューションズ事業部は、従業員約25000人が在籍し、28か国に61か所の拠点を展開する。