日本ミシュランタイヤのプレスセミナーから その4
さて、軽量化と共にワイドシングルタイヤへの期待は、その低燃費化にある。ダブルタイヤよりワイドシングルのほうがトレッドの接地面が小さくなるから、転がり抵抗が低減するのは自明のことだが、もう一つは重要なのは、足回りが軽量化することでエネルギーロスが改善され、これも燃費低減に効いてくるのだ。
レキウンの吉川社長の話である。
「ミシュランのX Oneを導入するにあたって、軽量化については大いに期待しましたが、もう一つの謳い文句である低燃費化については、正直言ってまったく期待していませんでした。私どものアスファルトローリは地場の仕事が中心ですから、そのせいか、いま話題の低燃費タイヤを履いて試してみても、ほとんど効果が出ませんでした。それもあって、タイヤで低燃費化を図ることには期待していなかったのですが、ダブルタイヤをワイドシングルに替えて実際に1年間走ってみた結果、平均で5.4%、いい時は7%の燃費が良くなるというデータが得られました。これは嬉しい驚きですね」。
ちなみに共にオールシーズンタイヤで、11R22.5のダブルタイヤ装着車が1年間の平均で3.5km/ℓ、455/55R22.5のワイドシングルタイヤ装着車が3.7km/ℓというスコアだそうだ。レキウンでは、昨年に引き続き、今年2台目のワイドシングルタイヤ装着車を導入しているが、この2台目の車両でも同じデータが出ているという。
アスファルトローリは、荷を降ろしたら空荷で走行することが多いため、ワイドシングルタイヤ装着車では、空積の車両重量の差が燃費に影響していることも考えられるが、注目したいのは、レキウンのアスファルトローリが6×2Fという点である。すなわち後ろ1軸をワイドシングル化しただけで160kgの軽量化と5.4%の燃費低減を達成したわけで、これが最も一般的な6×2R、すなわち後ろ2軸のタイヤをワイドシングル化すれば、タイヤの本数は8本が4本になり、軽量化も低燃費化も、単純にいって倍近い効果が得られることになるのだ。
いわゆる低燃費タイヤは、高速道路主体で長距離走行する車両以外は、なかなか効果は出にくいものだが、ワイドシングルタイヤを履いた6×2Rなら、地場でも10%以上の燃費低減効果を発揮する可能性があるというのだ。本誌「フルロード」ならずとも、このポテンシャルに注目しないわけにはいかないだろう。 (つづく)
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