タイヤ屋ハマダユキオの「車輪の下」 No.22

タイヤ屋ハマダユキオの「車輪の下」 No.22
割れたホイールを見てみる・・・・ 
見事に割れたホイール。
いちはま.jpg
▲ナットホールから外側、内側へとクラックが入っております・・・。内側に走っているクラックは割れた面が錆びておりました。
ハマニ.jpg
▲割れた部分のUP画像。ナットの当たり面のテーパー部分が他の穴に比べ広がっております。
浜さん.jpg
▲割れたホイールに付いていたアウターナット。(左側)右は新品ナットの画像ですが、ホイールとの当たり面・・・かなり傷んでいますね。新品にはあるエッジも摩り減って消えています。
はまし.jpg
▲こちらの画像は当たり面の高さの違いを撮ったもの。けっこう~摩り減っているのが分かります?
で、
ホイールが割れる原因なんですが・・・・これはしっかりした検証結果ではなく、あくまでも私個人の想像なんですが、
このJIS規格のホイールはナットとホイールの当たり面がテーパー状(斜め)になっていて、そこの「面」でホイールを留めています。
最近はタイヤ屋では「標準作業」の推進でナットの座面にオイルを塗布し、尚且つ、ナットを規定の締め付けトルクにて締めるよう推奨していますので<ここの座面VSナットの当たり面の負担は減っているものの、やはり金属同士なんで・・・摩耗していくんですね・・・。
で、
脱着を繰り返していくと・・座面とナットのテーパー面の摩耗が進みます。と同時にボルト、ナットの「ばね」効果も薄れ・・締め付けが緩くなったり、当たっている面が均一ではなくなってくれば当然、緩みやすくはなってきます・・・。
そこで・・
摩耗の進んだ部分が走行中のホイールのディスク面の微妙なたわみでナットが緩む→隙間が出来てくる→さらにたわみで動きが大きくなる→摩耗が進行→ディスク面が必要以上にたわむ→割れる・・・・のではないのかな?・・・と。
これはちょっと前の我々の作業ですと、エアは直圧、締め付けはインパクト、締め付けの順番も対角ではなく円周方向だったりと・・・それはそれは・・ホイールやボルトナットの寿命を縮める作業内容なのかな・・・?と(汗)
現在では
エアは減圧装置をつけ、締め付けはボルト、ナットの清掃後、OILを塗布、インパクトではなくトルクレンチにて対角線で締め付けを実施しております。
以前、実験的に締め付けに自信がある者がインパクトで締め付けをし、その後トルクレンチで締め付けトルクを測定したとろ、平均8本中(JISの8穴にて)2~4本は規定のトルクで残りは強かったり、弱かったりしました。
実験を繰り返しましたが、8本全部を規定トルクで締まっていることは無かったように憶えています。(当社では規定トルクは車両メーカーの規定トルクより若干高めでセットしていますので、実験の中の「弱かった」場合でも車両メーカーの規定値より少し高めです)
このバラツキの原因は「腕」もなんでしょうけど、エアの「脈動」にあるのかもしれません。コンプレッサー出口からエアツールまで金属の配管ではありませんので、途中のホースのエア圧による膨張などで脈動が起き、エア圧のバラツキから締め付けのバラツキへとつながるのかも知れません。
ナットの緩みの原因の一つに締め付けの不均一があげられますので、締め付けの「強さ」よりも「均一さ」が大事なんです。
なので現在はトルク管理をし、均一の締め付けを心がけボルトナットやホイール等のパーツの寿命を延ばす努力をしておりますです。
ただ・・・
やはりパーフェクトではないので、ドライバーさんもぜひ「運行前点検」をしていただき、未然に防げるトラブルは防ぐようにしましょう~!
ナニカガアッテカラデハ、オソイデス! 
http://68607323.at.webry.info/
「測定屋、ときどきタイヤ屋、絵描き屋の日記」
 
 

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