元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.33
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寄稿・連載
トラックドライバーの誇り その31
私が二十代の前半にいた西濃運輸では、集配の業務をしていた。会社では毎月曜日には必ず朝礼があり、安全運転の原則を交代で読まされていた。
その中に、「単調な道路は死を招く」というのがあったのを覚えている。当時はまだ高速道路は完備されておらず、名神と東名くらいで、中国道も九州道も短い区間だけが開通していたに過ぎない。それでも一般道であれ、高速道路をどれだけ意識していたのかは知れないが、この原則が西濃運輸には存在していた。
この原則は、高速道路だと「高速道路催眠」に置き換えることが出来る。また、一般道でも信号が少ない直線道路などでは、眠気を招く。居眠り運転や朦朧運転の排除に、当時から取り組んでいたのである。当時、つまり30数年前の話である。
もちろん、長距離の路線運転手は二勤一休体制であったし、高速道路がない当時ツーマン体制だった。二勤一休とは、大阪便を一往復すると、次の日は休みと言う具合だ。当たり前だが、各店所には日中に仮眠する部屋が用意されていて、休憩、休息とも十分取れる体制だった。
運送関係の皆さんの中で、これを読み「そんな大手と比べられても」と、一笑に付されているあなた! 私は同じようにしろと言っているわけではありません。
このような例もあります。私が以前運んでいた、門司港の太刀浦から東京、関東行の時の話です。地元の小規模の会社ですが、同じ届け先で降ろす荷物を一緒に積み込み走ったことがあります。降ろし終えた後、次の予定を聞くと、昨日は一睡もしないで来たので、今日は荷物を取らずに休みだと答えてくれました。一睡も出来なかったのは、九州~関東の翌着なので当然です。私も眠ってはいませんでした。
もちろん、トラックの中で一晩明かすのでしょうが、無理をさせないという姿勢には驚きました。この会社、決して大手ではありません。すべき努力を運転手だけに押し付けず、会社自らがやっている姿勢に驚いたのです。
そして、運行管理者のあなた。あなたは、その場合にどんな対処をされますか? ドライバーに聞いてはいませんか?
何を? で、次回に譲ります。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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