元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.32

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.32

トラックドライバーの誇り その30
 
ここで一度、一連の話を整理しておきたい。私はトラックの死亡事故は必ず減らせると断言して、書き進めてきた。そのために衝突時の破壊力=重量×速度 そして、その他にも、力積(押す力)の存在があることを書いた。そして、長々と朦朧運転の説明をしてきた。もちろん、その説明は実体性のあるものとして、自分自身の体験と他のドライバーの経験談を活かして書いたものだ。
もちろん、この朦朧運転は深夜未明時に限ったことではなく、不眠不休状態で走ったあくる日の日中にもあるし、慢性的な寝不足状態の時などは、日中にも起こりうることなのだ。実は、私自身の体験では、日中の居眠りの方が多い。特に昼食の後などは深刻で、何度もその後居眠りしたことがある。
目的地で荷降ろしを終え、ホッとしている時間帯なので気が緩んでいるせいもあるだろうが、次の積み込み先に行くという新たな目的が決まっていても、睡眠の我慢の限界を過ぎていれば、この事態は起きる。

トラックの死亡事故が多い原因を、私の一連のブログを読んで気がついてくれた方は多いの思う。重大事故というのは、ブレーキを踏むのが遅くなったり、全く気がつかずに踏まなかった場合に生ずることだということを……。もちろん、ハンドル操作の誤りなどもあるが、全体から見れば、やはりブレーキングの問題が多い。

もう一度確認します。
トラックの事故は、自家用乗用車に比べて3分の1しかありません。だが、死亡事故は乗用車よりも多いのです。言い換えれば、トラックは一事故当り約3倍の死者を出しているのです。

運行管理者の皆さん、このような実態をどれだけの方が把握していますか? あなた方が、この状況を演出しているのです。それにお気づきすか?
そして、荷主企業とその荷物を委託されている倉庫の皆さん、あなた方がどれだけこの実態を把握していますか? 一部の無理解な倉庫業の方は、あなたがこの事態を演出しているのにお気付きですか?

もちろん、ドライバーの側にも問題はあるのは当然だ。だが、次回は運行管理者の問題に触れたいと思う。

 

トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/

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