元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.29
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寄稿・連載
トラックドライバーの誇り その27
今回幻覚について書く予定だったが、錯覚と幻覚の違い、そして、錯覚の種類について少し書いてみたい。トラックドライバーが経験するのは多くは錯覚であり、その辺の事を知らなければ死亡事故の撲滅には至らないと気がついたからだ。
錯覚の中にもいろんな種類のものがあり、運転時の意識朦朧とした状態の錯覚は、不注意錯覚と呼ばれるものなのだそうだ。
不注意錯覚の他にも、感動錯覚というのがあるのだそうだ。これは、恐怖心等で見る幽霊などがあり、それも、ある意味不注意錯覚と連動していると言える。
暗い山道を走っていて、幽霊が出たなどとする話は多く聞く。多くはトラックドライバーではなく一般ドライバーの話が多いが、これも意識朦朧とした状態と、幽霊が出るのではないかという不安と恐れが、木や枝の形、または風や光等の影響で起こすものを錯覚なのだそうだ。
覚醒時の錯覚は、人の見間違いや知り合いと間違えたりする錯覚などで、意識朦朧とした状態の錯覚とは根本的に違う。
私が経験した高速道路で、側道の赤信号でブレーキを踏んだのも、意識朦朧とした状態なので、不注意錯覚になる。また、前のトラックや、通り過ぎる物体などが別の物に見えるのは、明らかな不注意錯覚である。
つまり、錯覚とは、実際に見える物が違うものに見えたり、巨大化して見えたりすることで、幻覚のようにその場にないものが見えたり感じたりする物とは根本的に違う。
幻覚は文字通り幻であり、ない物が見えたりすることです。種類としては、幻聴、幻視、減味等々さまざまあるようですが、その中でトラックドライバーに限らず、運転中に関係があるのが幻視です。もう、この状態になるまで運転していると、確実に死亡事故に結びつきます。つまり、意識が現実の物にない状態になるわけですから当然です。
少し回り道しましたが、次回は本題に戻ります。
参考資料 八千代病院 メンタル・ヘルス・ネット
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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