トラックドライバーの誇り その17
アイドリング禁止がどのような影響があるのかは、現役のみなさんはもうよくご存じだと思う。なぜなら昨日も今日も体験し、明日もまた繰り返すのだから。
そして、トラックドライバー以外の方でも、乗用車の中で真夏の照りつける太陽の中で過ごすことを思い出してください。また、真冬の、そう今の時期にエンジンを止めて実験してください。それが、どんなものかを……。
長距離では、そんな条件の中で仮眠を強いられるのです。もちろん冬は電熱マットなどがあります。しかし、運転中に4時間から6時間かけて暖めて、精々6時間くらいしか効きません。もちろん、それだけでは不十分で、寝袋、その中に防寒服などを着こんでいます。中には、布団をかけて寝るドライバーもいます。
つまり、長距離の時の長時間の仮眠はそれなりに工夫で何とかなります。が、近場での順番待ちや短時間の仮眠ではそうはいきません。後ろのベッドで電熱マットの上で寝て待てるはずはなく、寝袋に入るわけにもいかないのです。寒い中、じっと待機している間は凍えてしまいます。
また、夏の暑さは防ぎようがないのが実情です。そんな現況で仮眠などできるはずもなく、暑さにうだり、寒さに震え、へとへとになって運転しているのが現実なのです。
また、トラックステーションにはエンジンをかけずにエアコンを作動できる機器を置いていますが、それにはトラックへの設備費用がかかります。30~50万円くらいだったと思いますが、環境だけを考えその設備が出来る会社は多くはありません。実際にトラックを走らせている会社は、軽油の経費節約に走っている会社なのです。そのような余力はありません。
また待機中などは、その会社に休憩室があるだろうとお考えの方がいたら、ハッキリ言って甘い! あっても数少ないし、十分な休憩室とは呼べないところが多いのです。そして、そんなものない会社、倉庫が多いのが実情です。
また、電熱マットくらいは会社負担ですが、寝袋や布団、防寒服などは運転手負担の例が多いのも現実です。
そんな現実の中で、罰金覚悟で差し支えない場所に移動して、エンジンをかける運転手もいますが、自分の身銭を切って安全を、そして自分の健康を買わなければならない…… おかしな話です。
繰り返しますが、これはドライバーに説明しているのではなく、一般の方や関係者に説明していることなのです。
つまり、アイドリング禁止が仮眠や休憩、そして運転手の健康までも阻害する現実があるのです。そして、睡眠不足や体調不良が居眠り運転や朦朧運転を引き起こす原因のひとつと考えられないですか?
これこそ、ノーブレーキによる押し続ける力(力積)で、多重死亡事故につながるのです。
地球環境は大事なことです。会社の経費節約も大事です。でも、私は自分の命と健康がもっと大事です。また、巻き添えになる他の方の不幸はもっと嫌なことです。だから、近くに民家がないところではエンジンをかけていました。だが、デジタコ導入後はそれも出来なくなりました。
会社によっては、前もって連絡をすれば、状況によって認めている会社もあります。そのような柔軟な対応が必要ですよね。
敢えて言いますが、それでも、あなた方の一部の方が軽視しているトラックの運ちゃんは、乗用車の3分の1しか事故は起こしていないんです。私は、元ドライバーとして、その事故率の低さは誇りに感じているし、今現在遂行している現役のみなさんを誇りに思う。
事故の責任は、もちろんドライバーの責任になることもありますが、それは別の機会にするとして、次回も社則の説明をしたいと思います。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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