普通のOLから大転身! アメリカでトラック乗りになった「なでしこトラッカー」PUNKさんの素顔の自叙伝

今の仕事は「七面鳥尽くし」

 アメリカのホリデーシーズンは、サンクスギビング(感謝祭=11月の第4木曜日)からクリスマス、そしてニューイヤーです。そのお祝いに欠かせないご馳走が、伝統的にはターキー(七面鳥)なんですね。

 実は、ポークやビーフ、チキンもおいしいから「七面鳥はパス!」という家庭も少なくありません(私もそのクチです)。

 でも、やっぱり毎年ホリデーシーズンになると、メッチャ忙しくなります。私の仕事は、ターキーのエサ運びから始まって冷凍パックされた七面鳥の配達まで、ターキー尽くしです。

 この会社にはそれぞれ違う場所に10箇所ファームがあるんですが、ひとつのファームに10~30棟くらい大きくて長いターキーハウスがあって、その横に9トンの餌が入るタンクが2つずつ設置されています。

 そのタンクに餌を入れるのですが、タンクの上にあるフタをあけて、トレーラのスティング(後ろにある餌を送り出すところ)をぴったりつけるのに、トレーラの前後の微妙な動きが必要なんです。たまに一発でつけられた時なんかは、心の中でガッツポーズです(笑)。

 しかもファームなのでいつも泥だらけ、ちょっとカッコ悪いですが、長靴を履いて作業をしています。どのファームにもゲート入り口に消毒液の入った水道が設置されていて、トラックでは18輪全部を念入りに洗うことが義務付けられています。

 エサの積み込みと荷降ろしで計3時間半。それからトレーラを替えて、七面鳥の積み込みに……。冷蔵倉庫は、夏はいいんですけど、中での積み込み作業はやっぱり寒い。なるだけ私からバイキン君がこぼれ落ちないように、マスクとスモック、頭にはネットかぶって作業をします。

 ビンというのですが、大きさも見かけも風呂桶のようなものに七面鳥と氷を入れた容れ物を加工工場に運びます。1ビンの中に七面鳥が40~50羽入っています。電動のパレットフォークを使うものの、これが重いんです。トレーラには28ビン積むので、けっこう重労働です。

普通のOLから大転身! アメリカでトラック乗りになった「なでしこトラッカー」PUNKさんの素顔の自叙伝
冷蔵倉庫からの運び出し。風呂桶のような入れ物には、七面鳥が40~50羽と氷が入っており、かなり重い。素早く作業しないと身体が凍ってしまう

 加工され冷凍パックされた七面鳥を配達する仕事も私の仕事です。トレーラには24パレット積むことができます。配達先には守衛所があって、トラックナンバーや名前、トレーラの温度設定などをチェックした後、どのドックにバックするか教えてくれます。

 ここに集められたターキーは他の運送会社のトラックでアメリカ全土にデリバリーされます。仕事はキツいこともありますが、苦労を共にして楽しく本音で語り合える仲間達がいて、居心地のいい会社です。田舎だから住みやすいっていうこともあるかもしれませんね。

愛しのアメリカントラック

 アメリカで乗ったトラックのメーカーは、インターナショナル、フレイトライナー、ケンワース、マック、ピータービルトなど。

 トレーラは、キャリアカー、タンカー、コンクリートミキサー(これは単車です)、フラットベッド、ホッパー(ボトムダンプ)、フィーダータンク、ダブルトレーラのライブホール(鳥かご)、53ftリーファー(冷蔵バン)、コンポストのスクリーン(肥料を作る際に土を網にかけて石や残骸を取り出す機械)などです。

 ところで、つい最近まで初めてアメリカで乗ったトラックは、アメリカでの初仕事の際に乗った75年式のケンワースだと思い込んでいました。

 でも先日、久しぶりに古いアルバムを見ていたら、思い出したんです。エアポートにあるヘリコプターの訓練校に通っていた頃、メキシカンのおっちゃんがほとんど毎日、同じエアポートの駐車場で自分のトラックを磨いていたんです。

 ある日「おっちゃん、トラック、カッコイイね! 私も日本でトラックドライバーだったんだ。運転していい?」って言ってみたんです。

 そうしたら喜んでトラックを運転させてくれたんですが、その時、日本とアメリカのトラックの違いを初めて学びました。なにしろギアが入らない、急いでダブルクラッチを踏んでもタイミングが合わないし、横で見ているおっちゃんの様子も焦ってるみたいだし……。

 これがアメリカントラックの初乗りだったんです。いま思えばとてもいい経験でした。メキシカンの気のいいおっちゃん、グラシアスです(笑)。

 これは私自身の課題でもありますが、トラックを運転していて、調子のいいときは問題ないのですが、人間ですから長時間労働に振り回され、肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまうことがあります。居眠り事故や過労死などの悲劇は決してあってはならないことだと思います。

 コントロールできないと感じたときは、仕事を断る勇気も必要です。むずかしいかもしれませんが、自分の人生で一番大切なことは何かを考えれば、答えは自ずと明らかでしょう。それは日本もアメリカも同じ。どうかそのことを忘れずに、トラックの仕事をエンジョイしましょう!

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