元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.127

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.127

長距離ドライバーの健康問題(其の五)
 
私が名張の会社を辞めて一匹オオカミとして働き始めた頃は、いろんな会社に出入りをした。辞めて独立する前は不安だらけで、数社に仕事の依頼をしていたからだ。全ての会社が自分のところの専属になることを期待していてくれたのだが、私1台ではどうにもならなかった。
 
そして、私が決めた仕事の方法は、数社からの仕事の依頼は受けるが、その曜日ごとに仕事を決めるやり方だった。相手もそれに同意してくれた。今から考えると、私の我儘を通してくれた数社の方々には感謝である。
その中で、最初に決めたのが名張市の会社で、九州の福岡、鳥栖、基山、佐賀県の小城、熊本、そして宮崎県の川南行きの仕事だった。もちろん、全ての場所を一度でまわったわけではない。ほとんどの場合、福岡、鳥栖、基山、熊本、小城の内、3カ所程度だったが、時には、他の地域と宮崎県の川南を積み合わせることもあった。
この仕事の積荷は、皆さんよくご存じの某大手飲料メーカーのシールだった。シールは温度に極端に弱い商品で、製品の温度管理が25度だった。こんなデリケートな商品を、平ボディの私に任せてくれたのには今でも感謝している。そんなわけで、特に夏場は積み込みが日暮れてからであり、19時前に出発することはなかった。もちろん、福岡の一番着が9時なので全高速になる。
ドライバーの皆さんはよくご存知のように、9時で一番に降ろすためには、その1時間~2時間前には着けていなければならない。もちろん、その後の温度の上昇が恐いので、素早く降ろして次の荷降ろしに向かわなくてはならない。走っている間はいいが、停まると温度が急上昇するので時間との勝負となる仕事だった。
 
三重県の名張市から福岡までは約750km前後あり、この仕事を始めた頃は山陽自動車道が開通する前だった。つまり中国道を使っていたので、現在よりも時間がかかっていた。まして、シールは重い。起伏のある道路を走るには、平均時速するとかなり落ちる。中国道は時速80kmなのでなおさら時間がかかっていた。でも、出せるところでは100km/h以上で走っていたが……。あの~ぉ、おまわりさん、時効ですよね(-_-)
 
名張市を出発して、名阪国道の針ICから、西名阪道の香芝SAでの食事となるのだが、それが出発して約1時間後だった。食事を約30分くらいで切り上げ、それからが本当に福岡まで走るという気になってくる。
私の計算時間では、それから8時間半くらいで着けなければ、朝一番に降ろせるかどうかが掛かってくる。だが、一睡もせずに走るのは無理だった。
この頃は、九州へ向かう時の食事といえば1回だけで済ませていたのだが、帰りが問題だった。九州へ向かう道中では、精々1時間くらいの仮眠で済ませていたが、それが、結果的に翌日の帰り荷を積んだ後に響いてきた。
それは、次回詳しく書きたい。

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