元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.90
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寄稿・連載
追想記(並走車21)
漫然運転といっても、その形態がさまざまあるのは、今さら私がここで説明するまでもないでしょう。
漫然運転が関係あるのは速度ですので、ここでそのことだけ少し触れてみます。速度に対する漫然運転とは、要するに自分が走っているスピードに対する無頓着ですが、どのようしてそのような運転になるのか一緒に考えたいと思います。そして、何故その漫然運転が釣られることに繋がり並走してくるのか。
高速道で釣られて並走してくる乗用車の方々の多くが、案外真面目なタイプが多いと書きました。それは、日頃から速度を守っているドライバーだということです。もちろん、一般道でも同じだと思います。常日頃から速度を守り法律に則った運転をしているドライバーは、ある意味速度に対して、自分はきちんと守っているという安心感があると思います。
これは、私自身の経験ですが、スピードを上げて走っていた若いころは、絶えずバックミラーやルームミラーでパトカーを警戒して走ったものです。もちろん、ネズミ取り(レーダー)の警戒も怠りませんでした。当然、トラックに乗り始めても同じで、自分のスピードがどれくらい出ているのか、常に頭の中に入れて運転したものです。当然、この時点で他車との速度の違いも判って来るものです。
ですが、速度を守り安全運転をしていると、自分はスピードを出していないという安心感から、ルームミラーやバックミラーを見る機会がめっきり減りました。気を付けるのは、ただ前方の飛び出しや信号であり、他の車に対しての意識は次第に薄くなっていきました。
これは一体何を意味するのでしょうか。
つまり、スピードを上げて運転していると、違反で捕まらないか、そして、自分が事故を起こさないか、加害者にならないか、それに対する注意が知らず知らずのうちに意識の中にインプットされているものです。しかし、速度を守り安全運転をしていると、違反はもちろん、加害者になる意識が次第に遠のいてきます。信号や前方に対する注意くらいしかないのが実情です。もちろん、前を走る車に対する意識はあります。
そして、運転中といえば、前の車に速度を自然に合わせて走っているか、自分の感覚(いわゆるスピード感)で速度を保持しています。そのような状態の時、横に速度差のない車からスーッと並びかけられると、自然に速度が上がっていくのは無理もありません。実際に、私自身がこの経験を何度もしているのです。
そして、その釣られるという行為、悪意のない行為を自分自身が行なった時、はっきりと気が付いたのです。その出来事は次回に譲ります。
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