多賀まりおの「ハミ出しフルロード」

多賀まりおの「ハミ出しフルロード」
三菱ふそう「新型エアロエース ショートタイプММ」を試す
ポスト新長期排ガス規制に適合した三菱ふそうトラック・バスの9m級大型観光バス「新型エアロエース ショートタイプMM」(MM系)に試乗しました。
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ご存じのようにポスト新長期の施行時期は、GVW12tを境に12t超は2010年8月末が継続生産車の登録期限となる平成21年規制、12t以下は2011年8月末までの平成22年規制となっていますが、このモデルは車型によってGVWが12t超/以下にまたがることから、12t超車を含めて今夏に対応されたものです。
505Z7015 燃料タンク増量により大容量の1スパンラゲッジを備えたMM系9m車.JPG
燃料タンクの増量により大容量の1スパンラゲッジを備えたMM系9m車
車両の成り立ちは、全長12m級のハイデッカ、エアロエース(MS系)のショートホイールベース版で、多くのコンポーネントを共用化。ただしエンジンは大型用の6R10型(12.8リットル420PS/350PS)から中型用の6M60T2型(7.5リットル270PS)にダウンサイズされています。
この手法はJバスの日野セレガ/いすゞガーラも同様ですね。ポスト新長期の規制対応は中型トラック「ファイター」と共通で、後処理装置に尿素SCR+DPFの「Blue‐Tec」システムを採用。PM低減につながる燃料噴射圧の高圧化とともに(尿素SCRのNOx還元能力の高さを利して)エンジンから出るNOx量が増える反面、高い効率の得られる燃焼制御とすることで燃費とドライバビリティの向上を図っています。
実用燃費はアドブルー消費量を相殺したうえで約2%向上。低速トルクの強化により定格値は不変ながら最大トルク、最高出力ともに発生回転数が下げられました。このほか同システムの重量を相殺する車体の軽量化や燃料タンクの容量増大、ISO方式ホイールの標準採用、最前席足元スペースの拡大など改良点は細部に及びます。
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MMのリアに搭載された6M60T2型270PSエンジン
505Z7041 MMの排ガス後処理装置。こちらはDPFと酸化触媒で反対側に尿素SCRを配置する.JPG
MMの排ガス後処理装置 これはDPFと酸化触媒で、反対側に尿素SCRを配置する
運転席周りは12m車と基本的に共通なので、前を向いている限り9m車を意識することはないと言いますか、右左折時に改めて「ああ短かったんだ」と気づく感じでしょうか。正直に申し上げて、クラッチを繋げた瞬間のトルクの余裕は12.8リットルの6R10型には及びませんが、低速トルクの増強によって使いやすさを増したように思います。いわば大型車と中型車の違いで、定員乗車時などはMS系に比べると高回転まで引っ張りながら使うことになりますが、3000回転近くまでストレスを感じさせずにきれいに回る印象で乗りやすかったです。
505Z7029 運転席は回転計のスケールなどを除いて12mのMS系と共通.JPG
運転席は、回転計のスケールなどを除き、12mのMS系と共通
また、ふそうらしい落ち着いたデザインやしっとりとしたステアリングなども魅力でしょう。なお、唯一のライバルであるセレガ/ガーラの9m車は、尿素SCRを使うMMに対して、NOx浄化に軽油燃料を還元剤とするHC‐SCRを使うため尿素水溶液の補給は不要としています。両者の実用燃費や使い勝手の違いがユーザーにどのように受け入れられるか興味深いところです。
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