タイユーのUS OTR百景 No.3

タイユーのUS OTR百景 No.3
「やっぱりウエスト」  (2011/09/05)
ダラスのトラックショー「GATS」の呼び物は、何といってもピカピカに磨かれたカスタム・リグ。とにかくよく手入れがされていて、外側はもちろんのこと、エンジンからシャシーの下から一点の汚れもなく磨かれています。早く記事を書こうかと思っていますが、今日は「ウエストはいいな」の話です。
ディスパッチャーから、急ぎの荷物があるので予定の前日から仕事に戻って欲しいとの連絡があり、トラックショーを後にダラス郊外のお客様のところからヒューストンまで走ります。そしてヒューストン郊外からロッキーを南から越えてウエストに戻ります。9月の第一週末が「勤労感謝の日」で3連休となり、ワシントン州に住んでいる次女が帰省してきます。もう4週間ほども走りっぱなしですから、それにあわせて休みが取れるようにホームベースのウエストに向かいます。
ヒューストンからの荷物はユタ州のシーダーシティーまで、1500マイル(2400キロ)。それを3日間で走るのんびりした行程です。ヒューストンから一旦ダラスに向かい北上し、そしてテキサスのパンハンドル(地形が鍋の「とって」に似ているので…)と呼ばれる一帯を、ルート66沿いにロッキー山脈の南越えしながらニューメキシコを走ります。そして、ギャロップからアリゾナ州北部をさらに西に、グランドキャニオンの東でコロラド川を渡りユタ州へ向かいます。
テキサスからニュウーメキシコの州境に差しかかると、空気が急速に乾燥してきます。湿度が低くなると、エアコンの利きがずっと良くなり、外の暑さが全く気にならない、陽が沈むと肌寒いほどになる砂漠特有の気候帯に入ります。1ヶ月もディープサウスで40℃の湿度80%で不快指数がもっとも高い地域を走ってくると、この砂漠気候のさわやかな乾燥した空気が本当に心地よく感じられ、これだけでもつくづくウエストはやっぱりいいなと感じさせてくれます。
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夜遅くに入ったナバホ族自治区で、真っ暗闇のなかにやっと見つけた空き地での一夜。朝起きたらこんな赤土の世界でした
アメリカでただ一ヶ所、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、コロラドの4つの州が一点で交差する「フォーコーナーズ」と呼ばれる場所があります。そこは、ナバホ族自治区内になるのですが、そこを中心としてグランドサークルと呼ばれる大自然の宝庫があります。そのグランドサークルには、グランドキャニオンを筆頭に6ヶ所の国立公園やディズニー映画「カーズ」の舞台になったモニュメントバレーやキャニオン・デ・シェーなどの景勝地がたくさんあり、何度グランドサークル巡りをしても見尽くすことができない人間の創造を絶する観光地です。
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めったに通る車もない下道をのんびりと…
自分は24才のときに、ラスベガスにあるグランドキャニオン観光飛行会社で職が見つかり、以来2000回以上もグランドキャニオンを訪れ、後にこのグランドサークルを案内するバスツアーを運行していました。ですから、自分の人生はこうした大自然の恩恵があればこそ成り立ってきたといっても過言ではないかと思います。
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5000万年以上も前は巨大な湖の底だった一帯
9・11以来、こうした大自然とは直接関係のないOTRドライバーをしていますが、このウエストの砂漠地帯を走ると、あらためて西部の良さを感じさせてくれます。空気も赤土も、そしてその大地の起伏がおりなす三次元の世界が、人間の力を超えたところで自分の人生に生きがいを与えてくれているように思います。
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時折、すれちがう大型トラック
OTR=Over The Road アメリカを走る長距離トラッカー
アメリカン・トラック野郎 タイユーは走る
http://blogs.yahoo.co.jp/taiyuusa
ツイッター @taiyu_usa
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「GATS」オープン数日前から会場脇の待機所で最後の磨きをかけるトラッカー

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