岡雅夫の「働くクルマ」のショートエッセイ 第34回
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寄稿・連載
<車のいない街>
人口2万人と言われる都市で、車が1台も走っていない街がイタリアのベネチアだ。ただし近くの空港から街まではバスもあるし、ヨーロッパ各都市から鉄道も乗り入れる。しかし街の中の移動手段は全て自分の足か船しかない。バイクはもちろん自転車さえ走っていない。
船は中型の水上バスが主流で、完全に市民の足になっている。料金は安くは無いが、頻繁に停留所がありとても便利だ。一方水上タクシーという便利なものもあるが、便利さ以上に非常に料金が高い。極端に言うと東京のタクシーの5倍以上する。その代わりにどんな狭い水路でも入って行って、しっかり行く先の玄関まで横付けしてくれる。この街のホテルの玄関は船着き場でもあるのだ。
(社団法人日本自動車工業会モーターショー室長)