ヤマトグループが2024年4月に成田空港で運航を開始した貨物専用機が、8月より羽田空港にも就航した。ドライバー不足や労働時間上限規制強化(2024年問題)でトラック輸送力が減少するなか、貨物専用機はどのような役割を果たすのか? 8月1日に行なわれた羽田空港初就航記念イベントをレポートした。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
ヤマトグループの貨物専用機はこんな機体!!
ヤマトグループが導入した貨物専用機はエアバスA321ceo P2F型という機体。トラック輸送力の減少を補うため導入したもので、もともと旅客機として運用されていた機体を改修し、貨物専用機としている。
ちなみにP2Fは「Passenger to Freighter」を意味するそうだ。
座席やトイレ、内装を取り外したうえ、機体に補強を施して貨物専用機としており、最大で28トンの重量を搭載できる。主な積み荷は宅配便、ネット通販商品、半導体製品などで、1度に大型トラック5台から6台分の積み荷を運ぶことができるという。
貨物専用機の羽田空港初就航がもたらすもの
ヤマトグループが貨物専用機の運用を開始したのは2024年4月11日で、これまで成田空港を拠点に、成田〜新千歳、成田〜北九州、成田〜那覇、那覇〜北九州の4区間で1日9便を運航していた。このほど、新たに羽田空港を拠点に、羽田〜新千歳、羽田〜北九州の2区間で運航を開始する。これにより、ヤマトグループの貨物専用機は合計5区間で1日13便を運航することになる。
羽田空港と新千歳、北九州を結ぶ新路線は、両空港間を深夜〜早朝の時間帯に1日1往復ずつ運航。羽田空港をハブに、北海道〜首都圏〜九州を結ぶ広範な輸送ネットワークが構築されることになり、北海道/九州で前日集荷した荷物を、翌朝首都圏で配達する、ということも可能となる。
なお、機体整備はJALグループ、運航はJALグループのLCCであるスプリング・ジャパン(旧春秋航空)が行なう。
8月1日に新千歳から羽田空港に初就航した便は、初便ということで6割程度の積載率で運航。積み荷は約8割が宅配便、残り約2割は前日に北海道で採れたばかりの海産物で、後者は午前中に都内の飲食店に届けられる予定だ。積み荷は羽田クロノゲートで仕分けをしてから各地に届けられるが、急ぎ便などは空港から直接届ける場合もあるという。
ヤマト運輸株式会社 貨物航空輸送オペレーション設計部長の鈴木達也氏は、2024年問題を念頭に、「トラックが運べなくなってきている『長距離の急ぎの荷物』を貨物専用機で運ぶことで、全体として2024年問題の解決の一助になるのでは」と、貨物専用機の導入メリット説明。
同氏によると、北海道〜九州間で生鮮品や機械製品を運ぶなど、これまで認識していなかった需要が貨物専用機の運航後に見えてきたという需要もあるそうで、貨物専用機の運航を通じて新たな市場の創出もできているという。
ヤマトグループでは今後、段階的に貨物専用機の運航を増やし、最大21便を運航することを目指している。
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