ロルフォ社は実績あるイタリアの特装車メーカーです。そんなロルフォ社が初めて日本市場向けに開発した車両運搬セミトレーラ「ブリザードJ1」が、先般開催された「ジャパントラックショー2022」に登場しました。出展社は輸入代理店であるトランスウェブ(EUトレーラーズ)。
日本では車両運搬車にキャリアカーという俗称がありますが、全幅2m超のランボルギーニも積載可能なイタリアンキャリアカーの実力とは、果たしてどのようなものでしょうか?
文/緒方五郎 写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
【画像ギャラリー】全幅1.9m超の大型乗用車もラクラク積載!! これがイタリア生まれのキャリアカーの究極の機能美だ!!(5枚)画像ギャラリー積載台数は同じでより重いクルマが積める
ロルフォ社は、欧州のキャリアカー市場で約3~4割のシェアを持つとされる大手メーカーで、単車ベースからセミトレーラ、フルトレーラまで、さまざまな車両運搬車を製造しています。
「ブリザードJ1」は、欧州の標準仕様よりも高い耐候性・耐蝕性を備えた「ブリザード」シリーズと同じ造りで、なおかつ日本の保安基準への適合と国内のキャリアカーニーズに対応させた1軸セミトレーラです。
積載台数は乗用車で6~7台で、日本で最も標準的なキャリアカーと同じ輸送能力。いっぽう、最大積載量は10,100㎏を実現しています。これは国産の同級キャリアカーでも、最新のモデルに匹敵するような非常に優秀なスペックです。
なぜなら「最大積載量10t超」というスペックは、ガソリン車よりも数百kgも重いハイブリッド車などを従来と同じく6~7台運ぶために、必要不可欠な能力であるからです。
柱が少ない設計
最大積載量10t超を、1軸のセミトレーラで成立させるには、高度な軽量化技術が必要です。
「ブリザードJ1」は国産キャリアカーに対して、柱の少ない外観が特徴となっており、直接的にはこれが軽量化に貢献しています。そのぶん基本骨格や可動部分、ジョイント部には、非常に高い剛性が与えられているといいます。
柱が少ないキャリアカーは、ロルフォはじめ欧州メーカーでは珍しくないのですが、これは荷台の内側の幅員(「荷台内法幅」といいます)を確保する点で有利です。
例えば、クルマの積載作業は単に載せるだけではなく、作業者がクルマのドアを開けて降りるということも考慮に入れなければなりません。車両全幅が日本車よりも広めなものが多い欧州車の積込作業を基準にして考えると、柱が少ないデザインは必然的なものだといえるでしょう。
いっぽう、国産同級キャリアカーは相対的に柱が多い設計ですが、構造的には荷重が分散されること、軽量化も材料置換で可能となること、車両全幅が比較的小さい国産車であれば、ドアの開閉スペースが確保できること、また車載デッキ配置を既存キャリアカーと共通化できて使いやすいことなど、国内ニーズに合ったきめ細やかな設計が可能になっています。