レーシングマシンや機材の運搬に加えて、チームの司令室やミーティングスペース、さらにはドライバーの休憩室としても活躍するトランスポーター。
「パドックの華」と呼ばれ、レーシングチームを陰で支える重要な役目を果たすトランスポーターには、一体どんな秘密が隠されているのか?
ちょっと古いが、11年前に発売された「フルロード」第2号から、知られざるトランスポーターの秘密に迫ってみよう!!
文・写真/多賀まりお、トラックマガジン「フルロード」編集部
※2010年9月8日発売「フルロード」第2号より
レース車両や機材を運ぶ
トランスポーターはこんなクルマ!!
スポンサーやメーカーなど色とりどりのカラーリングを施され、レーシングカーやチームの機材をサーキットに運ぶトランスポーターはパドックの華だ。
ナンバー付き車両でエントリーできる参加型イベントなど一部を除いて、レース車両の移動にはトラックが必要。
プライベーターの場合は1台積み車両運搬車のレンタカーが活躍したり、小型フォーミュラカーの場合はキャブバッククレーンで吊り上げ、平ボディに載せて運ぶ例まで見られる。
だが、国内でもスーパーGTやスーパーフォーミュラといったトップカテゴリーになると、1チームあたり2台以上の大型トランスポーターで車両と機材を運ぶのが一般的だ。
車両後部に専用リフトを備え
レース車両や機材を効率よく運搬!!
車両は4軸低床の単車もあるが、大勢を占めるのはセミトレーラで、積載比重はさほど高くないため1軸のトレーラも多い。装備として不可欠なのは後部の車両用リフトで、レーシングカーは最低地上高が低いため、水平に上下できるものが基本となる。
トランスポーターはこうした特殊な可動機構を備えたものが多く、その重量のために、基本的に積載量を多く取ることはできない。
ルーフがせり上がる構造と、荷台内部に上下可動床を備える2段フロア仕様の車両では、上段に車両を載せ、下部にはキャスター付きの工具キャビネットや機材ケースを詰め込む、といった積み方が多く見られる。
トランスポーターといっても、複数台で運用する場合は車両を運ばない構造のクルマも出てくるわけだが、パドックでは基本的に後方からの荷役となるため、チーム用の車両にウイングボディは少ない。いっぽう、タイヤメーカーのタイヤを運ぶトラックはウイングの独壇場だ。
司令室やミーティングスペースとして活躍
ちょっと変わったトランスポーターたち
このほか、荷物を降ろした時に荷台スペースを打ち合わせ室などに活用するチームもあり、簡単なものはカーテンやパーティションで囲うだけだが、脱着式のアクリル窓をはめ込んだり、デッドスペースになりがちなトレーラ前部に専用の艤装を施すものもあり、アイデアはさまざま。
この機能を追求した専用車両も存在し、ボディ上部全体がせり上がる構造による2階建てのセミトレーラが複数のチーム・陣営で使われている。
車内にはエンジニアがパソコンを並べて作業するスペース、ドライバーがリラックスするスペース、会議・応接室などがあり、もちろんサーキットのラップタイムモニターやモニター画面も備わる。ちょっとした司令塔というわけだ。
ちなみに、海外遠征の際には、40フィートのハイキューブ(背高)タイプの国際海上コンテナを2段フロア化した、2台積みの特殊なトランスポーターを使うこともあるようだ。
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