日本ミシュランタイヤの「ウインター・エクスペリエンス」から
2012年3月14日 /
レポート
その4 スノートラクション そして低燃費性能
次のメニューは、ミシュランの新スタッドレス「X ICE GRIP ENERGY XZW」のスノートラクションを試すスノーセッションです。ミーティングルーム前をスタート、平坦な圧雪路を走って氷盤路の横を抜け、ハンドリングを試す山道のカントリーコースを上り、頂上の直径100mの旋回試験路で折り返して、山道を下って再びミーティングルーム前に戻るという約15分ほどのコースでした。GVW25トン車で雪のカントリーコースを走るという体験は滅多に出来ないので、ちょっとワクワク。言ってみればスキー場のゲレンデみたいなコースですから、「X ICE GRIP ENERGY XZW」といえども、時々リヤが流れます。何て言うのかな、大型トラックでスノボをやっているような、そんな感覚が一瞬味わえます。
ミーティングルーム前をスタート
平坦な圧雪路を走り …
いよいよ登坂路へ
カントリーコースは雪で真白 まるでスキー場のゲレンデのようです
▼そして山を下り、再び平坦路へ。ここではテストドライバーが思い切りハンドリング性能を体験させてくれます
▼それを後ろから見ると、こんな感じ
こんなハンドリングをしても乗っていて不安感はありません はたで見るより、ずっと安定感が感じられました
「X ICE GRIP ENERGY XZW」では、ショルダー部に配置された太めのグルーブがスノートラクションに特に効果を発揮するそうです。
正直言って、その効果が分かるまで雪路走行に精通していませんが、ワンデフの大型車でも、こんな雪の山坂を難なく上り下りできるのは、やはりスノートラクション性能にしろスノーブレーキング性能にしろ、タイヤによるところが大きいことは間違いないと思います。
「X ICE GRIP ENERGY XZW」のスゴいところは、こういった高い氷雪グリップ性能を発揮しつつ、両立がむずかしいとされていた低燃費性能を実現したことですね。ちょっとだけその技術的なキモを紹介します。タイヤの場合、燃費の低減は転がり抵抗の低減とイコールですが、そもそも転がり抵抗とはどんなものかというと、タイヤが転動(回転によって地面に接し、連続的にたわみ変形し、再び地面から離れるまでの運動)する際に発生するエネルギーロスのことで、ヒステリシスロスと呼ばれています。タイヤのコンパウンドには、ゴムをゲル化して結合させるカーボンブラックがたくさん含まれています(タイヤが黒いのは、このカーボンブラックのせい)。ただ、カーボンブラックによって結合したゴムはヒステリシスロスが大きいため、従来の低燃費タイヤのコンパウンドでは、このカーボンブラックの量を減らしていました。しかし、カーボンブラックの配合を減らすとゴムの耐摩耗性が悪化し、偏摩耗などを引き起こしてしてしまう…。そこでミシュランでは、ゴムと化学結合するシリカを配合。シリカは本来、カーボンや天然ゴムと結束しづらい性質を持っているそうですが、ミシュランは特別な中間素材によってゴムの結合力を分子レベルで安定させるのに成功。ゴムの結束力を高めたことで、ヒステリシスロスが低減し、転がり抵抗が低減したENERGYコンパウンドが誕生しました。ちなみにENERGYコンパウンドは、従来のコンパウンドより柔らかく、氷雪グリップ性能にも効果が
あるそうです。
以上、いいことづくめの「X ICE GRIP ENERGY XZW」ですが、この商品に一つ問題があるとすれば、「MICHELIN X ICE GRIP ENERGY XZW」……。アルファベットばかりで商品名が長すぎることでしょうか(笑)。
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