今日は「第42回東京モーターショー2011」のプレスデイの2日目。昨日の三菱ふそうに続き、いすゞ、UDトラックス&ボルボトラックス、日野自動車など商用車メーカーのプレスブリーフィングが行なわれた。持ち時間が1社15分と短いので、ほとんど出展概要の説明に終始したが、もう1社、商用車メーカーとして出展しているヒュンダイのチェ・ハンヨン副会長によるプレスブリーフィグでは、バスに続き、トラック分野でも日本市場への参入を検討していることが発表された。
チェ・ハンヨン副会長のプレスブリーフィングの模様を伝えるモニターに流れた同時通訳のテロップ
ヒュンダイは、乗用車分野では日本市場から撤退したものの、観光バスでは着実に実績を伸ばしており、同社の「ユニバース」は、受注分も含めると2年半で約200台の販売実績がある。これは、もともと規模の小さい日本市場では「躍進」といっても過言ではなく、実質的に2社しか存在しない日本のバスメーカーにとっても、ヒュンダイは無視できない存在になりつつある。
今回のモーターショーでは、この「ユニバース」の2012年モデルが公開されたが、このバス分野での成功が引き金となり、トラック分野の日本市場への参入を「積極的に検討している」ことが明らかにされたわけである。
ヒュンダイには、大型トラックの「トラゴ」、中型トラックの「メガトラック」、小型トラックの「マイテイ」などがラインナップしているが、日本投入モデルは、おそらく大型のトラゴで、海コン用として需要が見込め、なおかつ架装などを考えずにそのまま持ち込める4×2トラクタが最有力と見られる。ちなみにトラゴは、ユーロ4に対応しているが、すでにユニバースが日本のポスト新長期規制に適合していることを考えれば、それほど排ガス規制の技術的ハードルは高くなさそうだ。トラゴは、そろそろモデルチェンジの時期を迎えているので、このニューモデルでのデビューが期待される。
ヒュンダイとしては、韓国製品に対する日本人の意識、すなわち「安かろう悪かろう」のイメージで見られたくないはずだが、それでも最大の武器は「車両価格」となるだろう。排ガス規制その他で、日本のトラックの価格はひと頃に比べてかなり高額になり、新車が欲しくても買えないユーザーが増えてきているのも事実である。ちなみにユニバースは、日本車に比べ車両価格が2~3割程度安価と言われているが、もしトラゴ4×2トラクタもそのくらいリーズナブルであれば、十分商機があるのではないだろうか。
もちろん「値付け」だけでトラックが売れるわけではなく、アフターサービスをはじめ日本のユーザーの安心と信頼を得ることが肝要で、ヒュンダイは今後、このサービス網・販売網の構築に着手するとみられる。また、並行して規制対応や認証などの日本市場へのハーモナイズを進めることになろうが、それらを勘案すると日本市場への参入時期は1年半~2年後といったところだろうか。
かつて乗用車撤退の折には「ヒュンダイ車を認めないのは日本市場だけだ」という言葉が残されたが、ヒュンダイトラックの日本市場参入の成否はどうか、極めて注目されるところだ。
モーターショー会場でお披露目された新型ユニバース。ヒュンダイには「ユニバースに続け!」の思いがあるはず
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