なぜ一定速で走っていてもエネルギー回生が出来るのか?
ゴー・ストップの多い小型トラックでは、熱エネルギーとして排出される制動エネルギーを回生エネルギーとしてバッテリーに充電し、推進エネルギーが必要な発進・加速時にその電気エネルギーを有効利用してモーターで推進力をアシストする……こういったハイブリッドシステムの仕組みは、広く理解されていると思う。しかし、高速道路を一定速で長距離走るケースの多い大型トラックで、なぜエネルギー回生が出来るのだろうか? それに、そもそも大型トラックで出来るのなら、小型トラックでもエネルギー回生が可能なのではないのだろうか? 三菱ふそうの開発陣はこう答える。
「小型トラックと大型トラックとでは、車重と使われ方の違いが大きいんですね。配送など都市内で使われることの多い小型トラックは、制動の頻度は高いものの、車重が比較的軽いので、もともと持っている運動エネルギー自体はそう大きくないんです。高速道路では空気抵抗で失われるエネルギーが相対的に大きくなるので、小型トラックではハイブリッドのメリットはほとんど出ない……、小型トラックでは下り勾配でもアクセルオンが必要なほどです。一方、大型トラックの場合は、今回公開させていただいたスーパーグレート エコ ハイブリッドもGVWが25トンありますが、持っている運動エネルギーが非常に大きいので、少しの勾配、あるいは道路状況の変化でも、それを回生エネルギーとしてバッテリーに蓄えることの出来る機会が多くなります。つまり、高速道路には緩やかなアップダウンが必ずありますから、80km/hの定速で走ろうとすると、例えば3%の下り勾配でブレーキをかけないと車速はどんどん上がってしまいますので、実は、一定速で走っていても制動エネルギーが回生が出来るんです」。
それを実証したのが東名高速での実車試験で、東京―小牧間で通常の「スーパーグレート」と「スーパーグレート エコ ハイブリッド」による実車テストを繰り返したところ、ハイブリッドの方がコンスタントに10%以上燃費が向上するという結果が出ており、大型ハイブリッドトラックの可能性が大きく開き始めたのである。<つづく> (キャップ)
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