緩和の内容
EPA2027のうち、緩和されるのは耐用年数、排ガス保証期間、故障時の出力制限などの部分となる。
コスト面から最も大きな影響があるのは排ガス保証期間とみられる。排出ガス中の規制物質量が基準の範囲内にあることが求められる期間は、現行規制では新車から5年・10万マイル(16万km)だが、10年・45万マイル(約72万km)に強化される予定だった。EPAは現行制度を維持することを提案しており、メーカーが大型エンジンに上乗せしているコストは消費者に還元される予定だ。
耐用年数規制は2030年までの延期が提案され、2029年までは現行規制が引き続き適用される。例えば大型車(EPAの区分による「ヘビーHDE」)では10年・43.5万マイル(70万km)から11年・65万マイル(105万km)への強化が予定されていた。これは排出ガスに直接関係するものではないが、メーカーは延長された期間のリコールに備える必要があるため、ユーザーのコスト負担は増える。延長はメーカーに準備期間を与えるためのものだ。
また、米国向け生産量の5%までは2027年以前の要件に準拠した大型エンジンを生産することを認める既存の措置を継続するいっぽう、消防車など少量生産車のための「NOx排出権」制度は撤廃する。
中・大型エンジンについては「不適合罰則(NCP)」を提案しており、基準を満たせないエンジンでも、メーカーが基準超過分の罰金を支払うことで型式認証を受けて販売継続すること認める。この制度はATAが求めていたもので、エンジンの供給途絶による混乱を防ぎ、新技術への安定した移行を支援する狙いがある。
メーカーは認証プロセスでエンジン排出量のデータを提出する。その際、2026年以前のNOx基準値を超えてはならず、EPA2027の適合レベルに応じてNCPによる罰金が設定される。その価格は中型エンジンで1台当たり最大で4300ドル、大型エンジンで同6800ドルとなるそうだ。完全適合ならもちろん0ドルなので、適合を済ませたメーカーが損をすることはなく、適合に向けたインセンティブとなる。
トラック運転手向けで重要なのは出力制限の代替が認められることだ。後処理装置に問題が発生した場合、現在は速度・出力制限が行なわれている。路上で急ブレーキがかかることがあり、危険を伴うのでドライバーからは不評となっており、EPAは音声による警告に置き換えることを提案している。整備工場まで自走できれば、けん引費用や荷物の延着を回避できる可能性もあり、生産性向上にも資するという。
黒煙を吹く大型トラックは視覚的に「環境に悪い」という説得力があり、環境問題のやり玉に挙げられた。排ガス規制が段階的に強化され、特にNOx排出量は1970年代からの50年間で99%削減された。そこから5年間で更に80%削減することが求められるEPA2027は、事実上、トラックの電動化を後押しするための政策だった。物流当事者が加盟するATAは、EPAの新方針を歓迎している。
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