運送業では適切な「点呼」の実施が法律で義務付けられている。最近では、日本郵便が点呼の不備により業務許可を取り消され、トラックが使用不可になった。このように安全を担保する点呼の不正には厳しい処分が下される。
このたび国土交通省が「業務前」の自動点呼を正式に解禁し、ICT機器を活用した業務前後の点呼の自動化が可能になった。各社から国交省の認定を受けた機器/システムが登場しており、デンソーソリューションの「BSS」も認定を受けている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/株式会社デンソーソリューション
国交省が「業務前自動点呼」を本解禁
国土交通省はこの度、運送業における「業務前自動点呼」を解禁する通達を出した。
トラック運送業にとって「点呼」は運行の安全を確保するための非常に重要な業務で、ドライバーの健康状態、アルコールチェック、車両点検の結果などを確認している。
最近だと日本郵便で点呼を実施しなかったり、点呼結果を改ざんしたりする不正が明らかになり、同社の事業許可が取り消され、トラックが使用不可になるなど大問題に発展している。
点呼は安全管理の基本とはいえ、深夜・早朝に出発するトラックや、遠方に出ている長距離トラックなど、対面での点呼を実施する体制を整えることは相応に困難で、運行管理者の負担も大きかった。
国交省では運行管理の高度化とドライバーの健康・安全管理のために、ICT機器を活用した自動点呼を認めており、ドライバーの血圧・体温、アルコールチェック、車両点検結果の確認など、従来の対面点呼と同等の安全確認を求めている。
慢性的な人手不足に陥っている運送業界では、安全性の向上と運行管理の負担軽減を両立するため、「業務後」自動点呼が令和5年(2023年)に解禁されている。
いっぽう、「業務前」の自動点呼については、国交省の要件を満たし先行実施に採択された事業者では既に始まっていたが、このたび本解禁が通達され、すべての事業者で業務前後の点呼の自動化が可能になった。
各社の自動点呼機器/システムも「業務前自動点呼機器」として国交省の認定を受けている。国交省ホームページではNPシステム開発の「AI点呼システム」、東海電子の「e点呼セルフ」、アネストシステム/デンソーソリューションの「Business Support System」、ウイズの「kenco」などが認定機器として確認できる。
BSSも業務前自動点呼に対応
このうち、デンソーソリューションが取り扱っている Business Support System(BSS)は、これまでに運送事業者を中心に2500社以上の企業へ導入されている。
遠隔点呼や業務後自動点呼、遠隔地IT点呼などの機能を制度改正に合わせて都度導入しており、この度、業務前自動点呼にも対応し国土交通省機器認定(JM25-003)を取得した。
BSSの各機能を活用することで簡単に点呼を実施することができ、保管データについては全拠点分を⼀元管理することで業務負荷軽減に貢献するという。国交省の認定を取得したことで、要件をクリアしていれば機器の購入後すぐに運用を開始することができる。
従来、運行管理者が対面で実施していた業務前後の点呼は、BSSを活用することでドライバーのみで完了できるようになった。自動化により運行管理者の労働時間は大きく削減される。
さらに、点呼時間や場所といった制約がなくなることで、運送会社はドライバーやトラックをより柔軟に運用することが可能になる。また、BSSは点呼以外の機能(労務・車両管理など)も備えているので、労働時間の削減のほか、安全性・生産性向上にもつながりそうだ。
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