三菱ふそうは、このほどeキャンターの最大の納入先であるヤマト運輸と協力しバッテリー交換式EVトラックの公道実証を開始すると発表した。
同社は昨年開催された「ジャパンモビリティショー2023」において、バッテリー自動交換技術を初公開。EV小型トラック「eキャンター」の新たな選択肢として、実用化を目指し開発を進めている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/三菱ふそう・フルロード編集部
バッテリー自動交換トラックの公道実証のあらまし
EVが普及する上で課題となっている航続距離や充電時間。
生産財であるトラックの場合、特に充電によって長時間生じるダウンタイム(非稼働時間)は稼働時間=生産性の低下を招くため、現状、EVトラックの用途や運用は限定的にならざるをえない。
そうした中、三菱ふそうは、2023年7月にバッテリー自動交換ステーションを開発する米国のアンプル社と共同実証に関する契約を締結し、ダウンタイムの大幅短縮を実現するバッテリー交換式のEVトラックの開発をスタートさせた。
昨年10月に開催された「ジャパンモビリティショー2023」では、アンプル社のバッテリーモジュール(生産モデルのSサイズバッテリーと同等の40kWh)を搭載したeキャンターを展示し、交換ステーションでわずか5分ほどでロボットによるバッテリーの自動交換が完了する様子も実演された。
交換技術としてはすでに確立されつつあるようだが、今回の実証はその次のフェーズとして行なわれる公道実証で、ヤマト運輸が京都市内の集配業務でバッテリー交換式eキャンターを使用し、バッテリー交換は、同じく京都市内に設置した自動交換ステーションで、ENEOSホールディングスと連携して実施される。
この実証で参加各社は、実用における利点や課題の洗い出しや、技術の拡張性の確認を行ない、日本における将来的な実用化の検討を進めるとしている。
バッテリー交換式EVトラックは、航続距離にとらわれない運用や、さらなる用途拡大、ダウンタイムの大幅な短縮などにつながり、EVトラック利用の可能性を広げることができる技術だ。
また、アンプル社のバッテリー自動交換ステーションは、EVトラックのみならず、乗用車と共用できる強みがあり、インフラとして定着させることができれば、EVの普及において、大きな原動力となることが見込まれる。
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