いすゞ自動車はカーボンニュートラルを目指す上で、ユーグレナ社と共同研究を進める次世代バイオディーゼル燃料「DeuSEL(デューゼル)」を将来燃料の選択肢の1つとして模索するメーカー。
DeuSELはミドリムシ由来の油脂成分と廃食用油から製造されるバイオ燃料だが、今回いすゞとユーグレナは、ミドリムシ由来原料を100%使用した「ユーグレナ由来原料100%燃料」を試製し、性能試験を行なった。
文/フルロード編集部 写真・図/フルロード編集部・いすゞ自動車
【画像ギャラリー】 多様な選択肢を探るいすゞが次世代バイオディーゼル「ユーグレナ由来100%燃料」で実証試験を実施(3枚)画像ギャラリーユーグレナ由来原料100%燃料開発の経緯
ユーグレナはこのほど、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)から抽出した油脂のみを原料とした次世代バイオディーゼル燃料「ユーグレナ由来原料100%燃料」を試製し、いすゞ自動車が性能実証試験を行なった。
両社は、2014年から、ユーグレナを原料とした次世代バイオディーゼル燃料の実用化を目指すため、共同研究契約を締結し、「DeuSELプロジェクト」として取り組みを進めてきた。
いすゞ自動車では今年10月、藤沢工場に続き栃木工場でも「DeuSEL」を使用したシャトルバスの運行をスタート。
いっぽうユーグレナ社は2018年にバイオ燃料の実証製造プラントを竣工し、次世代バイオディーゼル・バイオジェット燃料を生産しているが、2025年末頃を目処に実証プラントの2000倍規模の生産能力をもつ大型商用プラントの建設も予定される。
今回の性能実証試験において、ユーグレナ社が製造する次世代バイオディーゼル燃料の性能試験を、いすゞ製エンジンを用いて行ない、「ユーグレナ由来原料100%燃料」が石油由来の軽油と同等の性能を有していることが確認されたという。
現在、国内外におけるバイオディーゼル燃料の製造に際しては、主な原料として使用済み食用油が使用されている。世界規模でのバイオ燃料需要の高まりにより、使用済み食用油の価格高騰や将来的な供給量不足といった問題が懸念されつつある。
いっぽうで、ミドリムシは耕作不適地での培養が可能であり、食用油の原料となる植物よりも油脂生産の効率が高いといった特徴があるため、「ユーグレナ由来原料100%燃料」を製造することは、将来的なエネルギーの安定供給に向けた解決策の一つと考えられる。
また、原料となるミドリムシは、成長過程で光合成によってCO2を吸収するため、「ユーグレナ由来原料100%燃料」は環境に配慮した燃料であると言え、将来燃料の選択肢として期待されている。
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