テールゲートリフター使用者は必ず特別教育を受講
安全規則改正の中でも、特にトラックドライバーへの影響が大きいのがTGL特別教育の義務化だ。2024年2月より、TGLを操作する業務に学科4時間・実技2時間の特別教育が必要となる。
そもそも「特別教育」とは、労働安全衛生法第59条第3項に基づき、「厚生労働省令で定める危険又は有害な業務」に労働者をつかせるときに行なわなければならない教育のことで、厚生労働省告示で規定する科目及び時間数の教育を、原則として社内で行なう。
事業者は特別教育の受講者、科目等の記録を作成し、3年間保存する必要がある。
講師の資格要件はないが、学科及び実技の科目について充分な知識、経験を有する者でなければならず、社内で特別教育を行なうことが難しい場合は外部研修機関等が行なう特別教育を受講させることでも差し支えない。
受講が必要となる業務は、TGL自体の操作だけではなく、TGLに備え付けられたキャスターストッパー等の操作、昇降板の展開や格納といった操作なども含まれている。また、荷役作業を安全に行なうため、TGLの昇降板にRBPを載せるなど作業の補助を行なう人にも特別教育を受けさせることが望ましい。
令和6年2月1日以降は、特別教育を受けた者でなければTGLによる荷役作業を行なえなくなるので、現在TGLによる作業を行なっている人や、行なう可能性のある人は忘れずに特別教育を受講する必要がある。
もし、事業者が特別教育を実施せず労働者にTGLを使用した作業を行なわせた場合、労働安全衛生法第59条第3項に違反することとなり、「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられる。また、特別教育の記録を保存しなかった事業主は、労働安全衛生法第103条第1項に違反し、「50万円以下の罰金」となる。
その他の墜落・転落対策は10月から施行
先述の通り、3月28日公布の労働安全衛生規則の一部改正では、TGLの特別教育義務化のほかに墜落・転落防止対策の充実が図られた。これらはいずれも2023年10月1日に施行される。
最大積載量が2トン以上のトラックで荷の積み卸し作業を行なうときは「昇降設備」の設置が義務化される。昇降設備は、トラックに取り付けられたものだけでなく、作業の際に持ち運んで使えるものも含む。
単なる「足掛かり」のようなものでは安全に昇降することができないので、手すりのあるものや、踏板に一定の奥行があるもの、トラックに設置するタイプでは三点支持のできるものなど、適切に選択する必要がある。なお、TGLを中間位置に停止させてステップとして使用する場合、そのTGLが昇降設備となる。
また、「保護帽」(つまりヘルメット)の着用が必要となるトラックの範囲が拡大され、次に該当するトラックではヘルメットの着用が義務化される。
●最大積載量5トン以上
●最大積載量2トン以上5トン未満で、荷台の側面が解放できるもの(平ボディやウイング車など)
●最大積載量2トン以上5トン未満で、TGLが設置されているもの(ただし、TGLで積み卸しを行なう時に限る)
保護帽には「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の2種類があるが、荷役作業では型式検定(国家検定)に合格した「墜落時保護用」の製品を使用する。これは帽体内部に衝撃吸収ライナーを備えたもので、検定合格品には検定合格標章が貼り付けられている。
これらに併せて、運転席とTGLの操作位置が異なる場合に、ドライバーが運転位置を離れる時に義務付けられているエンジン停止等の措置が適用除外となる。ただし、ブレーキを確実にかける等の逸走防止措置は必要だ。
なお、トラック運送業における労働災害防止団体である陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)が、専門家と主要メーカーの技術者、全ト協・車工会などの協力のもとに作成したというTGL特別教育用のテキストを販売している。
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