ヨーロッパのトラックメーカーといえば、メルセデス・ベンツ、ボルボ、スカニア、イヴェコ、ルノー、DAF、MANの大手8社が有名だ。が、実はこれ以外にもたくさんのトラックメーカーが存在するのをご存知だろうか?
それらのメーカーが生産しているのは、大手メーカーが対応できないニッチな用途に特化した特殊トラック。キャブコンポーネントを大手メーカーから調達しているため、見た目は大手メーカーのトラックと瓜二つだが、その中身はまったくの別モノ。
ここではヨーロッパの中でも有名な特殊トラック専門メーカー4社をピックアップし、その特色や製品ラインナップを紹介しよう。
文/緒方五郎 写真/各メーカー
※2022年3月14日発売「フルロード」第44号より
テルベルク・テフニーク
オランダのテルベルク・テフニーク(Terberg Techniek)社は、ロイヤル・テルベルク・グループ傘下の大型トラック改造メーカー。大幅なシャシー改造を得意とし、トラックメーカーでは対応できない重架装ニーズに応えている。
1869年創業という長い歴史を持ち、現在は関係の深いボルボ車を対象に、GVW20〜80t、3〜6軸までのシャシーフレームの延長または短縮、および車軸の変更、軸数の変更、サスペンションの変更などのほか、シャシー改造を伴う上モノ架装も行なっている。
●FH16 610 12×4/8
ボルボFH16ベースの6軸車で、駆動方式は12×4/8。「/8」は後2軸がステア車軸という意味
●FMX 12×4/8
先代ボルボFMXベースの6軸車で、3軸目と6軸目が追加ステア車軸。ボディはバケット揚程高104mの高所作業車だ
●FMX 10×4/8
同じく先代ボルボFMXベースの5軸車で、3軸目と5軸目がステア車軸。ヘヴィデューティなダンプボディを架装する
ジナフ
同じくオランダを本拠地とする大型特殊トラックシャシーメーカーが、ジナフ(GINAF)社だ。同社は1967年にオランダのトラックメーカー、DAFのキャブコンポーネントとアクスルを使用した自社ブランドトラックの製造・販売を開始し、現在に至る。
独自の油気圧式サスペンションや、電子制御式車軸ステアシステムに定評があり、2016年にはEVトラックも発売。なお、同社は2011年に経営破綻して中国資本となったが、のちにプロパー経営陣が株を買い戻し、現在は再び民族資本経営となっている。
●X6 10×6
主力モデルで、6×4、6×6、8×4、8×8、10×4、10×8など幅広い駆動方式を設定。キャブはDAF CF用だ
●X6トライデム 8×4
トライデムは後3軸車のこと。オランダでは前2軸車に対しGVWがプラス1トン追加される
●HD5395TS
車両総重量95トンの鉱山ダンプで、駆動方式は5軸10×6。キャブはフォード・トルコ製だ
●デュラブルeシティ
都市内配送用のEVトラックで、道路清掃車や塵芥車の架装にも対応。キャブはDAFまたはメルセデス・ベンツを用いる
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