■信号で止まれない制限速度の問題点
東京湾岸道路・国道357号のうち、お台場~新木場の地上部は、制限速度は時速60kmだが、信号も多く危険だと感じる。
信号は一般に、黄色になってから3~4秒で赤に変わる。進行方向の歩行者信号が見えていれば、車用が黄色に変わる10秒程前から前兆をつかむことができるので、安全運転につながる。
しかし、もともと横断歩道が無い交差点や、歩行者信号が横断歩道より奥まっていて見えない交差点もある。デジタルタコグラフは0.3G以上で減速すると「急ブレーキです」と宣告する物が多い。
これは荷崩れの心配も出てくる加速度なので、事業用貨物はこの範囲内で運転すべきだろう。時速60kmのトラックが0.3Gの減速で停止するには[空走距離17m+制動距離47m=停止距離64m]が必要だ。
だが、時速60kmだと3秒間で50m進む。つまり信号の約50m手前で黄色に変わった場合、トラックは急ブレーキか信号無視のどちらかになってしまう。信号の手前には大型車両の急ブレーキ痕が多数。制限側道を時速50kmに改めるべきであろう。
■ブラインドコーナーにも注意
2015年3月に開通した首都高中央環状線山手トンネル・大橋JCT~大井JCT区間。途中に出入り口はあるものの、全長18.2kmで日本最長の道路トンネルとなった。大井埠頭~東名高速を結ぶルートであり、トラックも多い。
従来、C1都心環状線を4.1mの背高コンテナは通れなかったが、山手トンネルは通行可能。環七、環八を経由する必要がなくなった。だが、ここを通る時いつも感じるのは「制限速度は時速60kmだが、トラックが飛ばし過ぎていて危ない」だ。
特に、内回りの五反田~大井JCT間では右のブラインドコーナーが何度もある。道路の車線ラインがトンネルの側壁に迫っており、路肩のようなマージンが無い。もっとトンネルの口径を大きく作れば問題なかったのだが、工費の関係だろう。
右車線を走ると、運転席は右側にあるから、前方視界は壁に阻まれて極端に短くなる。もし前に事故車がいたら、落下物があったら……。もう、ブレーキでは間に合わない。トラックで右車線を走るのは、かなりの賭けだ。
その他、ジャンクションや料金所のETCレーンでもスピードの出し過ぎによる事故が多発。2015年12月には首都高葛西JCTでトレーラがカーブを曲がり切れず、積み荷の40ftコンテナが川に落下する事故もあった。充分に注意する必要がある。
人間は世界的にスピードやスリルを好む傾向がある。自分にも経験があるが、若い時ほど飛ばしたがり、歳を重ねれば落ち着いてくる。生鮮品などでは、競りの時間に間に合わないという事情もある。
スピード超過と事故の問題は人類共通の課題でもあろう。だが、事業用のトラックの運転は、ドライブではなく仕事だ。列車の運転のように、坦々と指定速度で行なうべきである。もちろん、周囲の状況に対応して速度をコントロールすることは必要だ。
少なくとも自動車専用道、都市高速、長大トンネルなどでは、トラックが他の交通の模範となって、スピードを時速10km落として走ってみてはどうだろうか。
安全、荷傷み防止、燃費、車両の故障防止にもつながり、その対応にかかる時間も節約できる。多大なメリットがあるはずだ。
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