ZFは2026年7月30日、トラック・トレーラの最新安全技術を公開した。9月に開催される「IAAトランスポーテーション」の技術プレビューで、車載イーサネット通信により連結車全体を同じADAS機能でカバーする360度安全コンセプトが中核にある。
先進運転支援システム(ADAS)アーキテクチャは拡張可能なスケーラビリティを確保しており、より高度な自動化にも対応できるという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ZF Friedrichshafen AG
ZFが恒例の「テクノロジー・デイ」
世界最大の商用車展示会、IAAトランスポーテーションが今年も9月にドイツで開催される。ZFの商用車ソリューション(CVS)部門は2026年7月30日、IAA前の恒例となっている「テクノロジー・デイ」で商用車の最新技術を先行公開した。
拡張性の高い360度安全コンセプトは、トラック・トレーラ向けの新たなアクティブセーフティ技術で、センシングから、知覚、制動、ステアリングまで一つのシステムに統合する。このアプローチによりあらゆる運転シナリオで安全性能が向上し、より高度な自動運転に向けた道を開くという。
車載高速イーサネット通信によりトラックとトレーラを接続し、トラック側(トラクタヘッド)だけでなく、トレーラ側までもがADAS機能の一部となる。こうした拡張により、従来は別々だったトラックとトレーラのセンサーデータ(レーダーとカメラ)が一つのモデルに統合され、認識のギャップがはるかに少ない全周360度の物体検知が可能になった。
システムは高速道路から市街地、徐行運転が求められる構内まで、一貫したドライバー支援を実現する。
ZFの技術・イノベーション責任者であるトーマス・ディークマン博士は「ZFのアプローチはADAS機能を車両全体に拡張し、警告ベースの運転支援にとどまらず、積極的な割込み介入による衝突回避へと進化させることです」と話している。
商用車に求められる安全要件が厳しくなるなか、ZFは「オン・ガード・マックス」システムをベースにアクティブセーフティ機能を継続的に拡張している。
発進時のムービングオフ警報(MOIS)やブラインドスポット情報システム(BSIS)などは欧州では法定要件で、新GSR(一般安全規則)で規定されている。いっぽうで、連続レーンキープアシストとアダプティブクルーズコントロールにストップ&ゴー機能を組み合わせるなど、法定要件を超えてより安定した予測可能な運転をサポートする。
トレーラの連結やヤードでのドッキングなど後退時は、現場での安全運転を支援するため自動ブレーキが積極的に介入するほか、トレーラ側に取り付けるサイドカメラで全体の視認性と物体検出性能を向上させた。
ドライバーの注意散漫や疲労を検知するドライバーモニタリングシステムも積極的に介入する。また、ドライバーの視界外にある緊急車両のサイレンを認識する機能が追加された。典型的なシナリオに対応するこれらの機能は、日常業務における衝突リスクを低減する。
重要なのは「スケーラビリティ」
ZFはADASのアーキテクチャとして拡張性の高い設計を採用しており、次世代のレーダーやカメラ技術により認識性能をさらに向上させている。新しいセンサーは低レイテンシ・高品質なセンシングデータを提供することで高度な環境認識を実現するほか、追加センサーやデータ融合もサポートする。
同社CVS部門でADAS・エレクトロニクス製品を担当するマーティン・マイヤー氏は次のように話している。
「お客様にとっては、スケーラビリティ(拡張性)が重要です。彼らは投資に見合う安全システムを求めており、規制要件を満たしながら、車両を再設計することなく、進化を続ける安全システムを必要としています。弊社のADASはこうした段階的なアップグレードを可能にするもので、車両の進化に合わせてメーカーは新しい機能を追加することができます」。
商用車向けにあらゆるコンポーネントを提供しているZFの大きな強みは、ADASとブレーキ・ステアリングを調和のとれた一つのシステムに統合できることだ。個別の機能として動作するのではなく、シームレスに連携することで車両のレスポンスを改善し、より高度な商用車の自動化を可能にする。
安全要件に関してはGSRのような法規対応だけでなく、それを超える需要も多く、新技術はそのための利点も提供する。例えばユーロNCAPによる安全評価や、今後導入が予定される新しい規制の枠組みなど、より高い目標を継続的に達成する基盤となる。
なお、ZFは今年のIAA2026で自動運転と安全性について商用車向けの最新技術を発表することにしている。
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